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  • 2017/03/17 掲載

8年ぶり再上場のスシロー、なぜ「店舗あたりの売上」が驚異的なのか

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回転寿司最大手の「あきんどスシロー」が東京証券取引所に再上場する。回転寿司の市場規模はここ10年で1.5倍に拡大しており、日本では数少ない成長市場となっている。スシローが上場すれば時価総額は1000億円を超えるとも言われるが、一方で、同業のかっぱ寿司が直近の決算で赤字に転落するなど競争環境は厳しい。回転寿司各社の経営戦略について探った。
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昨年オープンした都心型1号店となるスシロー南池袋店では、注文した商品がすぐに席まで届く「Auto Waiter(オートウェイター)」やセルフレジを初めて導入した

回転寿司「だけは」例外的な成長市場

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 回転寿司「あきんどスシロー」を運営するスシローグローバルホールディングスが3月30日に東京証券取引所に上場する。同社は2009年に上場を廃止し、投資ファンドの傘下で資本関係の整理を進めてきた。今回、再上場が実現すれば、株式市場への復帰は8年ぶりとなる。時価総額は1000億円を超えるとも言われており、今年の目玉案件のひとつになりそうだ。

 上場にあたっては、約2000万株が売り出される予定となっており、これによってファンドは投資資金を回収することができる。スシローにとっては、ファンドという制約条件がなくなるので、経営の自由度が増すことを意味している。上場をきっかけに本格的な出店攻勢に出る可能性は高い。

 回転寿司は数少ない成長市場のひとつだが、競争が激しいことでも知られる。同業のかっぱ寿司は赤字に転落しており、ゼンショー傘下の「はま寿司」は、果敢な出店攻勢によって店舗数でスシローに迫る。短期的には「スシロー」と「はま寿司」とのシェア争いが、中長期的には市場の飽和に伴う業界再編が注目ポイントとなるだろう。

 現在、寿司全体の国内市場規模は約1兆4000億円ほどあるが、人口減少や消費の低迷によって緩やかな縮小が続いてきた。ここ10年は、回転寿司の市場が伸びたことで寿司市場全体の縮小にも歯止めがかかりつつある。回転寿司以外の寿司は以前として減少傾向が顕著だが、回転寿司だけは10年で約1.5倍となり、すでに6000億円の規模に達する。

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寿司および回転寿司の市場規模推移

トップの「スシロー」をゼンショー傘下の「はま寿司」が追う

 スシローは現在、回転寿司最大手となっており、国内で442の店舗を構える(2016年9月末時点)。トップのスシローを「はま寿司」と、くらコーポレーションの「くら寿司」が追うという図式だ。かつて業界のリーダーだった「かっぱ寿司」は価格戦略の失敗などもあり、スシローやはま寿司に水をあけられている。

 同じ回転寿司といっても各社の戦略は異なる。スシローは回転寿司とはいえ、味を重視しており、その分だけ客単価も高い。スシローの平均的な店舗は120坪と広く、1店舗あたりの年間売上高は3億円超と他社を圧倒している。これは外食産業全体で見ても驚異的な数字といってよい。スシローは高級感を打ち出し、高めの客単価を維持することで他社を引き離している。

 似たような路線を走っているのがくら寿司である。くら寿司は、4大添加物(化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料)無添加をウリにしており、やはり客単価は高めだ。1店舗あたりの売上げもスシローほどではないが大きい。

ブランド名スシローはま寿司くら寿司かっぱ寿司元気寿司
企業名スシロー
グローバル
ホールディングス
ゼンショーくらコーポレーションカッパ・クリエイト元気寿司
決算期2016年9月期2016年3月期2016年10月期2016年3月期2016年3月期
回転寿司関連
売上高(百万円)
147,702 101,034 113,626 69,397 26,059
回転寿司関連
営業利益
(百万円)
7,509 4,251 6,527 2,549 346
店舗数(国内)442 433 385 336 133
標準的な店舗面積120坪120坪125坪90~110坪60坪
※元気寿司の売上高は国内のみ
※はま寿司は、営業利益ではなく経常利益
※かっぱ寿司の営業利益はデリカ事業含む
(出典:各社資料より筆者作成)

 一方、スシローとは異なる路線で猛追撃しているのが「はま寿司」である。はま寿司は、牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーの傘下にあり、「平日1皿90円」のキャンペーンを打ち出すなど安さを武器に急成長した。

 客単価が安いため、売上高ではスシローとは差があるが、店舗数ではほぼ互角の状況にある。スシローの当面のライバルは、はま寿司とみてよいだろう。

 はま寿司を運営するゼンショーは、実は以前から回転寿司の市場に並々ならぬ関心を寄せており、以前はスシローやかっぱ寿司に資本参加していたこともある。スシローが2009年に上場を廃止したのも、ゼンショーによる資本参加がひとつのきっかけとなっている。

【次ページ】新規の店舗には1億円以上の投資が必要なケースも
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