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  • 2016/12/28 掲載

スポーツクラブの最前線を変える!ルネサンスが取り組んだ顧客サービス改革

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1979年に大日本インキ化学工業(現DIC)の社内ベンチャーとして、テニススクール事業からスタートしたルネサンス。現在の事業の中核となるのは、売上の約9割を占めるスポーツクラブ事業だ。現在ルネサンスは国内132か所 (16年3月末)にスポーツクラブを含む、リハビリ施設や小型フィットネス施設を展開し、2015年3月期で45万6000人の会員を保有しているが、同社は2007年度、創業以来、大幅に減益した。それを契機に経営トップの号令のもと、構造改革「ルネサンス・レボリューション(通称ルネレボ)」に乗り出すとともに、基幹システムの刷新に着手した。
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スポーツクラブ事業のIT化には特有の難しさがある
(写真:ルネサンス提供)


自社全役員と本社全部門の管理職に課題やニーズをヒアリング

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ルネサンス IT戦略部長 鈴木 重美 氏
 ルネサンスは創業以来、大幅に減益したことをきっかけに、翌2008年から構造改革に乗り出した。「第11回 BPMフォーラム 2016」で登壇したルネサンス IT戦略部長の鈴木重美氏は、「ルネレボの取り組みが始まる中で、IT絡みの問題も出てきた」と当時の状況を振り返る。

 まずシステムが個別最適で散在していたこと、同時に情報も散在していたこと、またExcelやAccessが日常的に利用されていたが基幹システムと連携しておらず、手作業による二重入力が多発していたこと、さらには個々の情報が単独で判断されてさまざまな営業施策が決められていたことだ。

「私が入社したのは、ルネレボが始まって1年後の2009年。最初にやったことは、自社の全役員と本社の全部署の管理職に対するヒアリングだ。その中で各部門が考えている中長期の課題やニーズを吸い上げた」

 このヒアリングを通じて、ビジネスサイドには、さまざまな情報を統合していきたい、あるいは情報をつなげていくことで、新たな顧客価値を創造できるヒントが出てくるのではないかという大きな期待があることが分かったという。

「やるべきことは、顧客に紐付く情報を統合すること、我々の人財情報も把握すること、そしてもう1つ、スポーツクラブという装置の機能やリニューアルの状況を把握することだ。この3つに関する情報を組み合わせて、今まで一次元で判断していたものを多次元で考えられるようにしたい。そのための統合情報基盤を構築することを目指した」

 余談になるが、鈴木氏が2009年に着任したIT推進部には当時4人の部下がいて、そのうちの3名はSEから転職してきた人たちだったという。

「当時はルネサンスの事業に対する理解が足りないと感じていた。事業部門に対して、どちらかというと請負ベンダーのような対応になっているのではないかという印象が強かった。そこで、せっかく基幹システムを刷新するなら、この機会にきちんと事業を知ってもらおうと考え、基本的にヒアリングには全員で参加するようにした」

優秀なスタッフを配置し続けるのは困難、戦い方を変える必要あった

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 ルネサンスのスポーツクラブ事業は、大きく2種類に分けられる。1つがフィットネス事業、もう1つがスクール事業だ。両者は同じ施設を使って運営されているが、しかしその性質は非常に異なるものだという。

 まずフィットネス事業では、顧客は好きな時に施設に来て、スタジオやプールなど好きな場所に自由に行き、やりたい運動をして、好きな時に帰る。一方、スクール事業では、原則として毎週決まった曜日の決まった時間、決まった場所で、スキルレベルの揃った顧客がグループ単位で身体を動かす。

「スクール事業の情報管理は、構造化しやすいし、標準化もしやすい。当然IT化もしやすいため、当時既に必要な要件は満たされた状態にあった。問題だったのはフィットネス事業で、こちらはお客さま一人一人にカスタマイズした接客応対が必要になる。それを支援するための情報管理をどうやって実現すればいいのかと悩んだ」

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同じスポーツクラブ事業でも要件が大きく異なる

 フィットネス事業では、入会者の約25%が6か月以内に退会する一方、6か月を超えると在籍期間が大幅に伸びるという。

「我々は“生きがい創業企業”を企業理念に掲げているが、クラブでの運動を通じてお客さまに生きがいを見つけていただければ、継続してご利用いただくことができる。そのためにシステムをどう活用するかがポイントだった」

 顧客がフィットネスを通じて得られる生きがいは、「覚える/慣れる」→「効果が出る/習慣化する」→「楽しむ/新たな目的」という3つのステップで創造される。このうちの覚える/慣れるの段階で、約25%の入会者が脱落してしまう。初期定着のためには、まず入会者の“顧客化”が必要だ。

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入会者の「顧客化」は大きな課題だ

「つまりは入会者の方に常連客またはクラブやスタッフのファンになっていただくということだ。しかしそのためには、お客さまごとの接客内容をカスタマイズできる高度なスキルをスタッフに要求せざるを得ない。だからスタッフの質の追求は、どうしても避けられないものと考えていた。これは非常に難しい」

 そんな質の高いスタッフが一体何人いれば、顧客全員の満足度を最大化できるのか。

「このことは、フィットネス事業に従事する者ならだれしも考え続けてきたことだ。しかしこれが大きな落とし穴だった。現場は正社員だけでカバーすることはできない。パートナースタッフと呼ぶパートタイマーの人たちの配置が必要不可欠だ。現場に高度なスキルを持ったスタッフを常に配置し続けることは困難だという前提に立って、今までとは違う戦い方をしようと考えた。ここがスタート」

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