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- 2020/04/08 掲載
サッカークラブの売上高 世界ランキング:バルサやレアルの収益が1兆円超えの理由
テレビ観戦の普及で、放映権料が44%に拡大
世界中のプロサッカークラブの収益を順位づけした「デロイト・フットボール・マネー・リーグ」の2018・19年シーズン版が発表された。調査したデロイトトーマツによれば、トップ20のクラブの合計収益は106億米ドル(約1.1兆円)で史上最高額となり、初めて100億米ドルの大台を突破したという。とりわけ、稼ぎ頭は上位5チームで、それらの合計収益は、10~20位のチームの収益を上回る。とりわけ、FIFA(国際サッカー連盟)の「ワールドカップ」や「オリンピック」は、世界中に放映されるため、プロサッカークラブの収益アップに貢献している。海外のハイレベルのゲームを目の当たりにしたサッカーファンは、海外の選手やチームにも興味を持つようになり、世界トップ級の選手やチームは、グローバルな人気を集めるわけだ。
収益ランキング上位のクラブには、ワールドカップやオリンピックでも活躍するスター選手が多数所属しているため、彼らの人気が、そのまま所属チームの人気にもつながる。欧州のチームにとっては、UEFA(欧州サッカー連盟)の「チャンピオンズリーグ」に進出できるか否かも収益をも大きく左右する。
なお、世界のスポーツ競技人口でも、サッカーは指折りだ。サッカーはボールがあれば、いつでも、どこでも練習できるし、ちょっとしたスペースがあれば、ゲームができる。サッカーが世界的に普及している理由の1つだろう。また、そうした愛好者の裾野の広さが、グローバルなサッカー人気を支えている。FIFAによれば、世界人口の過半数である約35億7200万人が、2018年のワールドカップをテレビやインターネット配信などで視聴したという。
欧州勢が優勢な2つの理由とは?
プロサッカークラブの収益ランキングを見ると、とりわけ、欧州勢が優勢なのがわかる。理由として、大きく2つが考えられる。1つは、サッカーの欧州市場が巨大であること。サッカー発祥の地である欧州は、伝統的にサッカーが盛んな上に、国民所得が高い。欧州の有力チームは、もともと本拠地の熱狂的で層の厚いファンに支えられている。そのため、財政基盤が安定しやすい。
もう1つは、ブランディングによるビジネス化に成功したこと。チケット販売だけに依存せず、マルチメディア戦略の展開によって、放映権料や広告収入、コンテンツビジネスなどに収益源を多角化した。財政基盤が拡充されたことで、南米やアフリカなどのサッカー大国からも、高額の年俸で有力選手を集められるようになった。その結果、チームが強くなって人気がさらにアップし、成長にドライブをかけることになった。
収益ランキングの第1位はFCバルセロナで、収益は9億ドル(約970億円)を突破した。1899年に創設されたスペインを代表する老舗チームだ。独立騒動で揺れているカタルーニャ州の州都、バルセロナが本拠地。FIFAのクラブワールドカップでは3回の優勝経験がある。リオネル・メッシなどの世界トップ級の選手を擁し、日本のサッカーファンにもお馴染みだろう。楽天がメーンパートナーとなっている。グッズ販売やライセンスビジネスを内製化したことが、同チームの収益力アップにつながったと、デロイトトーマツは分析している。
第2位もスペイン勢。首都のマドリードを本拠地とするレアル・マドリードだ。1902年設立で、スペイン国王から「レアル」(王立)の称号を与えられた名門。FCバルセロナと並ぶ強豪で、クラブワールドカップでは7回の優勝を誇る。ジネディーヌ・ジダン、クリスティアーノ・ロナウドなどのスター選手が活躍したことでも知られる。
第3位は、英国を代表するマンチェスター・ユナイテッド。産業革命の故郷であるマンチェスターで、1878年に創設された欧州FCの草分け。デビッド・ベッカムの活躍や、Jリーガーの香川真司選手が移籍したことで、日本でも一躍有名になった。
【次ページ】ここ5年で一番収益を増やしたプロサッカークラブはどこ?
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