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2024年10月3日に新シーズンが開幕したBリーグ。入場者数が右肩上がりで成長し、わずか8シーズンで約2倍に成長した。その要因についてBリーグ チェアマンの島田 慎二氏は国際大会での日本代表の熱戦などによるバスケブームとともに、「スマホファースト」「デジタルファースト」を挙げる。そこで今回、他のプロリーグでは見られない、Bリーグ特有の「チケット直販」制度といったマーケティング戦略や、データ統合による「データ活用戦略」について、島田氏に話を聞いた。
8年で入場者数「約2倍」、根底にある「最高の顧客体験」
2024年6月に発表されたBリーグの
中期経営計画によれば、2023-24シーズンの総入場者数は452万人と、リーグ発足から8シーズンで約2倍に成長している。10月3日には2024-25シーズンが開幕したが、
第1節の入場者数は17万8347人(昨シーズン第1節に比べて19.5%増)と第1節の最多記録を更新。今シーズンも好調な滑り出しとなった。
この圧倒的な成長の背景には、リーグの構造改革である「B.革新」がある。競技成績による昇降格制度を廃止し、最高峰の「B.LEAGUE PREMIER」カテゴリーでは2026-27シーズンから、売上12億円、入場者数4000名、収容人数5000人以上のアリーナなどの基準が儲けられる。世界でも「事業性」を重視したライセンス基準をクリアすることが求められるプロリーグは唯一と言ってよい。
こうしたビジョンの下、2028年には総入場者数700万人、事業規模800億円を目標としているが、そのキーファクターに挙げられるのが「顧客体験の向上」だ。島田氏は、「顧客体験という意味では、大きく3つのポイントがあります」とする。それは、「アリーナ(ポイント1)」という非日常が味わえる夢の空間で「最高のプレー(ポイント2)」を見せるとともに、演出を含めた「最高のエンターテイメント(ポイント3)」を届けたいというものだ。
これが「最高の観戦体験につながり、ひいては顧客体験につながります」と島田氏は述べる。「『選手のプレーは最高だがアリーナの演出は中途半端』だとか、『演出は最高だが選手のプレーがいまいち』ということでは不十分。プレーのレベル、エンターテイメントのレベル、会場であるアリーナのレベル、この3点で最高を追求していかなければなりません」と力を込めた。
スマホファーストが「女性や若者」のファン獲得に
その3点と同時に、顧客体験を高める施策の1つとして、Bリーグは当初から「スマホファースト」「デジタルファースト」を標榜してきた。プロスポーツの多くは「チケット販売」「中継放送」「スポンサー」「グッズ」が収入源となっている。Bリーグではこれらをスマホで完結する、という考え方で取り組んでいる。
たとえば、Webサイト直販による電子チケット制の導入や、インターネットでの試合のライブ中継など、その取り組みは「若い世代へのリーチ」「女性客へのリーチ」という点で着実に実を結びつつある。
「もともとバスケットボールの競技人口は、野球やサッカーといった他の競技に比べ、男女で差が少ないのが特徴です。バスケの競技人口は約60万人。女性の競技人口は約半分を占めており、サッカーや野球に比べて圧倒的に多いです」(島田氏)
こうした競技特性も相まって、Bリーグは女性の来場者が多くを占める。Bリーグの
データによれば、男女比はそれぞれ、45.5%、53.2%、その他が1.3%だ。最近では、家族連れの女性ファンが目立っていると島田氏は話す。
「会場であるアリーナの雰囲気が平和で、かつ雨風に濡れることがありません。かつてバスケットボールを競技した経験を持ち、関心の高い女性層が、近くにプロリーグのクラブができたことを契機に、子どもを連れて観戦し、その子どもが小学校でミニバスケットを始めるケースも増えてきました。また、バスケットボールを観戦したいという潜在層は若い世代を中心に多くいます」(島田氏)
では、「マーケティングの推進」という点ではどうだろうか。
【次ページ】チケット販売のカギは「一元管理」と「スマホファースト」
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