10
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
チケット販売のカギは「一元管理」と「スマホファースト」
マーケティング推進に関するBリーグと各クラブの関係について、島田氏は「クラブをいかにサポートするか、というのがBリーグの基本的なスタンスです」とした上で、「シーズンオフの期間は、ファンが離れやすいタイミングとなります。そのタイミングを含め、Bリーグとしては、各クラブのCRM(顧客関係管理)の仕組みに投資したり、クラブの集客の好事例やスポンサーセールスの好事例を知見として共有したり、システム、メソッド両面で各チームを支援するといった役割を担っています」と話した。
チケット販売では、Webサイト直販による電子チケット制を導入している。Bリーグが各クラブの試合のチケットを統括して販売しており、ファンはスマホを通して、どのクラブの試合でも同じWebサイトでチケットを購入することができる。
このメリットについて、島田氏は、「リーグがチケット販売の仕組みを提供することで、チームにとっては、自前でチケットシステムに投資しなくて良くなる点がメリットとしてあります」と話す。
さらに、チケット販売データをリーグで一元管理することができるため、「各チームのチケット戦略に関わるデータ、たとえばどういう売り方をしたらどのぐらい売れるかという知見も集まります。そうしたナレッジやノウハウを各チームに共有することができます」ということだ。
リーグで「データ統合」、“圧倒的”成長スピードを実現
データが可視化され、その利活用をリーグが主導することで、リーグ全体の成長スピードがさらに高まっていく効果が期待できるようだ。現状は「チケットがどんなタイミングで、どういう販売方法のときに売れ行きが良いかなど、勝ちパターンをリーグとして蓄積し、各チームに還元していくことを目的としています」という。
「たとえば、各チームが自前で取り組めば10年かかる成長スピードを、リーグが取りまとめて1年でノウハウを共有、吸収できれば、9年短縮できることになります」と島田氏は述べる。今は分析の粒度がまだ粗いとしつつも、「こんなデータが取得できたら良いという要望を加味し、細部にわたって理想に近づけている段階です」とした。
「50以上のクラブのチケットデータは本当に“宝の山”。これを統合管理できるというのは、他のプロリーグにはないBリーグ独自の強みであり、これを武器に変えていけるよう、模索を続けているところです」(島田氏)
統合管理の取り組みの1つが、個人情報をバスケットボール界全体で統合するDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)の構築だ(下図)。
島田氏によれば、現在、リーグ内で各クラブと連携して統合データベースを活用する「ステップ3」の段階にあるという。これは、各クラブが保有する来場者、チケット、グッズなどのデータを統合することで、来場者にとってさまざまなメリットを提供することができる段階だ。
今後は、9月にサポーティングカンパニー契約の締結を
発表したTISと連携し、リーグ内のデータだけでなく、日本バスケットボール協会など、バスケットボール業界全体との連携を目指していく方針だ。
併せてデータアナリストなどのデータ活用人材についても増強していく。「アナリストのスキルを持った人材はいるものの、現状はまだ少ない状況です」と島田氏は述べ、これから本格的に採用活動を進めていくところだとした。
【次ページ】「島田が辞めるか、システムを辞めるか」
関連タグ