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「島田が辞めるか、システムを辞めるか」
一方で、Webサイト直販による電子チケット制を導入しているデメリットについては、「50数チームを一元管理し、コントロールすること」の難しさを挙げる。そのため、システム運用上のトラブルや障害も多く発生してしまうという。
島田氏は「小さな問題がほとんどですが、私がチェアマンに就任してからは、島田が辞めるか、システムを辞めるかというくらい、多くのトラブルと戦ってきました」と振り返る。
その結果、「ファンの方のご理解もあり、トラブル自体はだいぶ減ってきました」ということだ。システム開発・運用を進める上で、島田氏は「システム開発自体はすべてを自前で行うことが難しい状況にあり、またBリーグシステムに限らないことだが」と前置きをした上で、「ベンダーやシステムを理解する」ことの重要性を強調した。
「外部のベンダーに開発を委託して障害が発生したときは、原因を特定して解決し、再発防止策を検討、実現していかなければなりません。委託元である我々、リーグ側がシステムの内容を理解していなければ、何が起きているかもわからないし、原因の追及や再発防止策の検討もできないわけです」(島田氏)
そこで、システムの監視、監督が可能な知識を備えたIT人材を配置、増強しているということだ。「システム部門や、マーケティング部門のチケットシステム担当セクションには、ID管理やチケットシステムの運用を担当する人材がおります。今後もシステムを理解し、顧客への説明責任を果たせるレベルの人材を確保、増強していきたいと考えています」と島田氏は話した。
B.LEAGUE選手が「スマホアプリ」で子どもたちに指導も
そのほかにも、ICTを使った取り組みは多く存在する。たとえば、ソフトバンクとBリーグがタッグを組み、プロ選手やコーチがスマホアプリを使って遠隔で部活動の技術指導を支援する「リモートコーチング」を積極的に展開している。
「ソフトバンクにはBリーグ初年度からスポンサードしてもらい、スマホファースト、デジタルファーストの取り組みの実現に大いに協力してくれました。これが、若い世代のファン獲得につながっています」
またデジタルへの投資が結果的に、上述したような子どもたちへの環境整備や、ユース世代の選手強化、興行のレベル向上の原資にもなっているということだ。この好循環を日本代表の強化につなげ、世界屈指のレベルに引き上げることで、「さらにバスケットが魅力的な競技となるようなサイクルを回していきたいです」と島田氏は話す。
ただ、今後、さらなるファンを増やしていくためには、競技人口の裾野を広げることも不可欠だ。「人口減少、スポーツの多様化といった流れの中で、子どもたちにとってバスケットボールが魅力的なスポーツであることは、地域との関わりという点でも重要なことです」と島田氏は話す。
そのためには、Bリーグが盛り上がり、「アリーナで最高のスポーツエンターテインメントを届ける」ことと、「クラブ経営の強化、ひいては日本代表の強化」の2点が不可欠だ。
先日、河村 勇輝選手が米プロバスケットボールリーグのNBAのプレシーズンに出場・活躍したことが多くの反響を呼んだように、海外に挑戦する日本選手が増えている。「日本代表が盛り上がれば、代表戦、オリンピック・パラリンピックと、さらに盛り上がっていくことは必然です」島田氏はこのように述べる。
続けて、「幼稚園を訪問しバスケットボールを寄付するといった未来を見据えた取り組みは、現在もクラブ単位で続けています。こうした取り組みが10年後、20年後に花開くことを期待しています」と締めくくった。
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