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- 2022/12/04 掲載
【大論争】日本が足を向けて寝られないVAR、「ミリ単位」の計測が可能なワケ
日本が「足を向けて寝られない」VAR判定
サッカー日本代表は12月1日、FIFAワールドカップカタール2022の決勝トーナメント出場をかけて、スペイン代表とグループステージ最終戦を戦い、2対1で見事勝利した。勝利後も各国で論争が耐えないのが、MF田中碧の決勝弾を演出したMF三笘 薫のアシストだ。ラインを割っているか否かのギリギリのパスは、ビデオ・アシスタント・レフェリー(Video Assistant Referee:VAR)により「パスの際、ボールがラインに触れている」と判定され、田中碧のゴールが認められた。また、サッカー日本代表は11月23日のドイツ戦でもVARによるオフサイド判定で失点を回避している。決勝トーナメントを進むにあたり「足を向けて寝られない」存在だ。Other cameras may offer misleading images but on the evidence available, the whole of the ball was not out of play. pic.twitter.com/HKKEot0j1Y
— FIFA.com (@FIFAcom) December 2, 2022
そもそもVARとは日本サッカー協会によると「試合とは別の場所で映像を見ながらフィールドの審判員をサポートする審判員」を指す。審判が見逃した反則行為などを、カメラで撮影したピッチ上の映像によって検証し、判定の参考情報にする。国際サッカー評議会(IFAB)の認可を受けた大会や、スタジアム、審判員に対して使用が許される取り組みである。
VARは前回大会から有望視、今大会も勝敗を決するカギに
VARは、ワールドカップでは、2018年のロシア大会で初めて採用された。この大会では、ソニー傘下のホークアイ・イノベーションズが持つ「光学カメラ/映像解析技術」が用いられた。会場に設置したカメラにより、プレーを振り返ることを目的とした。当時はモスクワ市内にFIFAのVARオペレーションルームが設置された。VAR(審判の一人として扱われる)と3人の副審が複数のスクリーンを常時チェックする体制を採用していたとされる。
主審はVAR進言に従うか、VARへリクエストをする形で、必要に応じてピッチ脇にあるスクリーンで該当のシーンの映像を確認できる。これにより、シミュレーション(敵チームのファウルによる転倒を装い、審判を欺く行為)のような「狡猾なプレー」を、あぶり出すことを可能にしていた。
一方、ホークアイでのVARは「映像のみ」のため判断に時間を要するような場面が多くなりがちだったという。
この2022年のワールドカップでは、より迅速な対応を目指し、ドイツのスタートアップ KINEXONの「ボールトラッキング技術」を採用したコネクテッドボール(IoTサッカーボール)が導入された。ワールドカップで採用された公式球には、同社がアディダスと共同開発した「チップ内蔵デバイス」が備わる。チップは20個以上内蔵されており、ワイヤレスで充電できるという。
【次ページ】三笘 薫のアシストが「ラインに触れている」ことを示したテクノロジーとは
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