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- 2016/10/07 掲載
不正販売で逮捕者も出た「脱獄iPhone」をアップルが黙認する理由
脱獄iPhone不正販売で逮捕の理由は
事件の概要について複数の新聞報道をもとにまとめると、容疑者は中古で仕入れたiPhoneを脱獄させ、アップルの公式アプリ以外のアプリが実行できる状態にした上で、人気アプリのチートソフトをつけてネットオークションで4人の男性に販売していた。iPhoneは1万円前後で仕入れ、3万円前後で販売し利益を得ていたという。この事件における直接の容疑は、脱獄iPhoneをネットオークションでロゴマークなどついたまま販売したことがアップルの「商標権侵害」であると発表された。また、不正端末を購入した男性4人らも、チートソフトによってゲームにアクセスしたため、私電磁記録不正作出・供用の容疑で書類送検されている。脱獄iPhoneを販売した容疑者も、ほう助の疑いで立件されるという。
脱獄iPhone自体は違法ではないが…
しかし、法律やセキュリティの専門家からは「脱獄したiPhoneを販売することが刑事事件として警察が動くのは正しいのか?」さらに「その根拠となる逮捕容疑が商標法の違反であることが適正なのか?」などといった、容疑者の逮捕に疑問を呈する声があがっている。
ポイントとなるのは、前提としてiPhoneを脱獄させること自体はアップルの規約違反であるが、違法ではないということだ。アップルも利用者に推奨はしていないが、自分の意思で行う脱獄については黙認している。
では、アップルはなぜ脱獄行為を黙認するのか。様々考えられるが、その理由のひとつは、アプリケーションの開発と検証、その継続的な改善をする上で、OSの保護機能を無効にするというアプローチが必要になるためだ。
例えば、個人が趣味でOSやソフトの改変、プログラミングを楽しむ権利まで(それが脱獄だとしても他の犯罪行為や不正行為を形成しない限り)法律で規制するのは難しい。自分で購入したパソコンのハードディスクを交換したり、OSを入れ替えたりすることが違法となる。自分で塗装したり筐体を変更したPCを中古で売買できなくなる。こういった状況は、消費者だけでなくメーカーにとっても望ましいとはいえない。過度な規制はアップルにとっても不都合になりかねないのだ。
【次ページ】「商標法違反」での逮捕は適切だったのか
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