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- 2015/12/22 掲載
弁護士法72条と規制撤廃との間で揺れる、弁護士事務所のビジネス「モデルとモラル」
2014年上場、弁護士ドットコムのビジネスモデル
もともと、弁護士の世界では広告への規制があったが、これは2000年に自由化された。さらに、2004年には報酬が自由化された。これと同時期に司法試験の制度が変わり、2006年以降、弁護士の数が倍増する形となった。こうした規制緩和によって弁護士の間で競争が激化し、今後は自分たちをしっかりとアピールせざるを得ない状況となってきたといえる。「広告」を積極的に活用しているのが、弁護士ドットコムとアディーレ法律事務所だ。どちらも、広告や報酬の自由化にうまく対応しながらビジネスを発展させている。
2014年12月にマザーズ上場を果たした弁護士ドットコム。同社では、これまで30分で5000円程度が相場だった弁護士相談をネット上で無料で行い、より専門的な法律知識がいる時は弁護士事務所に誘導するビジネスモデルを展開している。
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相談者はパソコンからの利用は無料で、スマートフォンから他人の相談に対する弁護士回答を閲覧するのは有料(スマートフォンから自分の相談およびそれに対する回答を閲覧することは無料)というシステム。弁護士は自分がネットで集客したいと思えば積極的にオンラインで回答し、自分自身への信頼を高めて事務所への誘導を狙う。
また弁護士からの広告料も収益の柱だ。利用者のみ無料で、あとはお金が発生する。また一般の広告も受け付けている。これまで弁護士に相談したくとも敷居が高かったものをオンラインで無料で相談できるようにすることにより、新たな隠れたニーズを掘り起こした格好だ。全体で9000人以上の弁護士が登録しており、これは弁護士全体の25%に相当する数だ。
アディーレ法律事務所がテレビCMを打てるほど儲かるワケ
テレビCMなどでよく目にするアディーレ法律事務所は、仕事の内容を変えることで新たな収益モデルを生み出している。これまで弁護士事務所は、弁護士に書類仕事が集中し、事務員はコピーを取るなどの軽作業だけで労働集約型のビジネスモデルだった。同社では業務にマニュアルを導入することにより、弁護士の仕事は法律知識に集中し、多くの仕事を事務員が請け負えるようになった。これにより弁護士の仕事の負担を減らし、また顧客は安い弁護士料金で依頼できるようになった。従来の仕事を見直すだけで、三方良しの新しいビジネスモデルが可能となったのだ。
格安の顧問弁護士も登場している。法人の顧問弁護士契約を行うと、さまざまなトラブルに契約期間中は無償で相談に乗ってくれる。心強い制度だが、月数万円~数十万円と高額なのが難点だ。だが最近は格安の顧問弁護士契約をウリにする事務所が増えてきている。月3000円程度の顧問料で契約し、相談のたびごとに若干だが相談料がかかる。無料ではないし毎回相談料がかかるのがネックだが、格安で顧問弁護士がつけられるとして、中小企業や個人のニーズをとらえた形だ。
【次ページ】弁護士はNG、税理士はOKな「とあるビジネスモデル」
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