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日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3つの事業会社を抱える日本郵政グループ。2015年4月にはグループとして、民営化後初めての中期経営計画「新郵政ネットワーク創造プラン2017」を策定。グループ各社の目指すべき姿として“トータル生活サポート企業”を掲げた。その中では5つの観点から、システム化のための基本コンセプトも明文化されている。日本郵政グループのIT基盤とIT部門が求められている役割について、日本郵政 取締役兼代表執行役副社長の小松敏秀氏が語った。
日本郵政の3つの経営課題
2015年11月、日本郵政を含め、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社が東証1部への上場を果たした。その約半年前に上場を見据えて日本郵政グループが策定したのが、2015年から3か年に及ぶ中期経営計画「新郵政ネットワーク創造プラン2017」だ。
日立製作所から招聘され、現在はCIOの立場でIT部門を率いる小松氏は「ガートナー ソーシング&戦略的ベンダー・リレーションシップサミット2016」に登壇し、この中期経営計画を「新たな3つの課題を克服し、成長と発展を遂げるためのグループ戦略だ」と説明した。
新たな3つの課題とは、さらなる収益性を追求すること、生産性の向上を図ること、上場企業としての企業統治と利益還元を実現することだ。
「この3つの課題を克服して、我々が最終的な目標としているのが“トータル生活サポート企業”となることだ。この姿を実現するためには、事業を持続的に発展させ、利益を安定的に確保し、そして公益性、地域性を発揮していくことが必要だと考えている」
2万4000局以上の郵便局を支えるITのあるべき姿
日本郵政グループの事業で核となるのは、何と言っても日本郵政の実店舗である郵便局だ。日本全国に2万4000局以上が配されており、郵便、貯金、保険の各サービスは、ほとんとが郵便局を経由して提供されている。
「我々が顧客サービスを伸ばしていくには、郵便局を中心に考えていかなければならない」
たとえば郵便局が1日当たりに配達する郵便部数は約6100万通で、配達箇所数は約3000万か所にのぼる。昨年日本郵政が総務省から受け取ったマイナンバーの配布先件数が約5500万件とのことで、郵便局ではそのうちの約6割に毎日何らかの形で郵便物を届けていることになる。
郵便業務も含むグループ全体の事業を支える情報システムは、非常に大規模なものとなっている。同グループでは、中央のデータセンタに各事業会社の基幹業務システムを置き、グループの共有資産であるネットワークシステム「PNET」を介して、全国の郵便局や各グループ会社のオフィスを連携している。PNETに接続する端末数は、業務用PCやATMなど全部で40万台を超えるとのことだ。
「新郵政ネットワーク創造プラン2017」では、IT戦略として、経営を支えるグループIT基盤を開発/運営すること、各セグメントの事業戦略の推進をサポートすること、携帯端末の活用など郵便局のIT武装化を推進することが謳われており、同グループではこのIT戦略の元、システム化のための基本コンセプトとして、サービスの拡大・品質の向上、業務効率・業務品質の向上、コンプライアンス遵守・危機管理、コスト削減、システム信頼性の向上、という5つの項目を掲げている。
【次ページ】日本郵政グループ全体をまとめることができるのがIT部門
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