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- 2016/06/21 掲載
経営者が自ら実践するグローバルベンチマーキング、1番信頼できる情報ソースは何か
グローバル経営者に伝える日本の弱点(8)
「命題」と「モデル」のベンチマークを行う重要性
野間氏:まず、これまで紹介した、グローバル経営者の「至上命題」のいくつかを、解決の基本的な考え方である「モデル」と共に振り返ってみましょう。
例えば、オープンイノベーションの成功例と言われるP&Gの「コネクト&デベロップ」(第1回)は、掲げた高い成長目標の達成が難しくなった時に、どうやって更なる拡販を果たすかという命題を解決するためCEOが自ら創造したモデルで、「解決すれば確実に売り上げが上がる課題を明確化し、解決策を世界から探していち早く解決する」というものでした。同社はこのモデルを実現するため、拡販の課題を明確化し、世界中から解決策を探す専任人材をグローバルに配置するなどの仕組みを確立していました。
ある製造業では、今後急成長が見込まれる中で、これまでの売上高研究開発比率を維持するのは難しい。成長を果たしながら研究開発の知的生産性をどのように向上させるかという命題を設定し、「研究開発テーマを3年から5年で事業移管するものに絞り込み、それ以上長期のテーマは外から持ってくる」というモデルを確立しました(第2回)。このモデルを実現するために、研究者は事業に興味があることを第1コンピテンシーとして採用し、世界の先端技術を探す子会社を作るなどの仕組みを整えていきました。
このような「命題」と「モデル」を考える場合、競争相手や先行異業種がどのような命題を掲げ、どのようなモデルで解決しているかを知ることができれば、より早く、より的確に命題設定と解決のためのモデル創造ができるはずです。
――それをベンチマーク、つまり他社と自社の比較調査で行うということですね。ベンチマークは、日本企業でも既に実施していると思いますが。
野間氏:日本企業のベンチマークで、経営レベルの命題をターゲットにしているものは少ないと思います。また、モデルつまり基本的な考え方を調べずに、すぐに細かな仕組みを調べてしまうことも多いのではないでしょうか。
――正しいベンチマークとはどういったものなのでしょうか。
野間氏:まず命題ですが、例えば、事業軸と地域軸のマトリクス型の組織体制の中で、いかにして業務の複雑さを低減させるか。事業部中心の組織運営の中で、グローバルに事業部門間での協力、コラボレーションをどうやって引き出すか。グローバルな実態把握、戦略策定、意思決定、リソース再配分の経営スピードをどうやって早めるか。CEOが長期視野で経営を進められるよう40代で優秀なCEOを育成するためにどうするか などは、ベンチマークの対象とすべき命題でしょう。
これらは、一見抽象論のように見えるかもしれません。日本のベンチマークは、グローバルな組織体制はどうなっているかとか、どのようなタレントマネジメント制度を持っているかなど、「命題」とその解決の考え方である「モデル」は無視して、具体的な仕組みにフォーカスしている場合が多いと思います。しかし、今述べた命題が解決できた場合の効果が大きいことは、理解できると思います。これらは決して抽象論ではないのです。
【次ページ】具体的なベンチマーク方法
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