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  • 2020/05/08 掲載

テレワークの「段階的」導入方法、あなたの企業は5段階のどこにいるのか?

【テレワーク成熟度モデル】で解説

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新型コロナの影響により、在宅勤務を余儀なくされ、それに伴ってテレワークが急激に浸透してきた。これまでテレワークには適していないと思われていた業務にも適用が増えてきた一方、社内のコミュニケーションやセキュリティ面で運用に困難を感じる企業も多い。そこで重要なのが、テレワークのプロセスを評価・改善する枠組みだ。今回は「テレワーク成熟度モデル」を提案し、テレワーク導入に課題を抱える企業が、現状と目指すべき状態の違いを把握したうえで、段階的に改善の施策を講じる方法を解説したい。
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テレワーク成熟度モデルは5つのステージで成り立っている(詳細は後述)

テレワークの現状、経営層や食わず嫌いな層にも拡大

 テレワークは企業にも従業員にもメリットがある点は言及されていた。自然災害やパンデミック時の事業継続に加え、オフィス維持費削減・ワークライフバランスの向上・多様な人材の確保などさまざまな利点がある。

 一方で「テレワークに適する業務ではない」「情報セキュリティが心配」といった課題があり、導入は一部の企業にとどまっていた。しかし、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大を防ぐため、テレワークを導入せざるを得ない状況が続いている。

 総務省が2018年に公開した資料「働き方改革のためのテレワーク導入モデル」では、テレワーク試行導入期の課題として「経営層に対するテレワークのメリットの訴求」「『食わず嫌い』な層への対応」「テレワーク関連ツールの導入・コストの捻出」が指摘されていた。今回のコロナ禍によって、経営層や食わず嫌いな層へもテレワークの利点が伝わり、同時に「Zoom」などの安価なテレワーク関連ツールも普及したことで、テレワーク導入の課題が一気に解決へ向かった。

 急激にテレワーク導入が進んできたものの、テレワークの運用は一朝一夕で確立できるものではなく、組織レベルでの運用ノウハウが求められている点も明らかになってきた。たとえば、アドビが2020年3月に実施した調査では、紙書類の確認や捺印などでやむなく出社した経験のある割合が64.2%に上ったという。紙ベースの業務プロセスではテレワークに限界があり、仕事の進め方を組織として見直す必要がある。

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 テレワーク導入には多面的な業務改革が必要だ。まず、テレワークに対応するように就業規則を改訂するか、テレワーク勤務規定を追加することが求められる。その際には、目的、対象者、申請方法、始業・終業の連絡方法、労働災害の適用、光熱費負担、通勤手当の変更など、明確にするべき事項は多い。また、労務管理・勤怠管理・人事評価にも影響を及ぼすため、対面とは異なる新たな手法を確立する必要がある。

 テレワークに適したIT環境を従業員に提供しなければ、その生産性の向上は望めない。セキュリティを高めながら、ハードウェア、ソフトウェアの両面から考慮する必要がある。チャットやWeb会議を実施する上でも、コミュニケーションを円滑にするルールを制定するべきだ。

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多くの企業でテレワークが推奨されてきたことで、当初は戸惑いつつも徐々に慣れ始めている人も増えているようだ
(Photo/Getty Images)

あなたの企業はどの段階? テレワーク成熟度モデルによる診断と評価

 ここでは、組織のテレワークの成熟度について、以下の観点を基準として5段階で評価する。ステージ1(場当たり的)、ステージ2(試行)、ステージ3(標準化)、ステージ4(高度化)、ステージ5(最適化)を定義した。
【評価基準】
  • ・制度
  • ・IT環境・セキュリティ
  • ・コミュニケーション手法とツール
  • ・業務プロセス・情報共有
  • ・労務管理・勤怠管理
  • ・人事評価・管理手法

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テレワーク成熟度モデル 5段階の詳細な状況

・ステージ1(場当たり的)
 テレワークの環境が整備されておらず、個人の裁量で実施しているのがステージ1だ。情報システム部門が承認していないPCやスマートフォンをテレワーク利用する「シャドーIT」の状態にある。個人によっては「Dropbox」などのオンラインストレージを使っているが、業務利用と個人利用のファイルが混在しやすく、セキュリティ上のリスクが高い。

・ステージ2(試行)
 一部の部門や業務においてテレワークを試験的に導入している状態。「Slack」「Chatwork」などのチャットサービスや、ZoomなどのWeb会議が導入されている。社用端末を自宅に持ち帰ったり、私用端末を条件付きで業務利用する「BYOD」制度が整備されるなど、限定的な範囲でテレワークが可能になる。紙のプロセスを減らすように文書をスキャンし、オンラインストレージで情報共有を始める場合もある。また、始業・終業の時間を管理するために勤怠管理・在籍管理のツールが検討されている。

【次ページ】現場のフィードバックを受けながら、徐々に成熟度を高める
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