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  • 2022/06/23 掲載

メタバースの「M2(エム・スクエアード)」、ソフトバンクら大型出資が相次ぐワケ

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英国のソフトウェア開発企業Improbableは、メタバースを実現する基盤技術を開発するプロジェクトM2(MSquared:エム・スクエアード)を立ち上げた。仮想空間でユーザー同士が交流できるメタバースは今後の発展が期待される分野であるが、乗り越えるべき課題もある。M2は、さまざまな機能開発によりメタバースの抱える課題の解決を目指す。M2のプロジェクト内容、メタバースの課題と今後の展望について解説する。
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M2はメタバースの技術課題を解決するのか?
(出典:Improbable

メタバースの特徴をおさらい

 メタバースは新しいインターネットの在り方として注目を集め、大手IT企業から政府に至るまで、その取り組みを進めるようになった。もともとはメタ(高次の、超越した)とユニバース(宇宙)を組み合わせた造語であり、仮想空間でユーザー同士が交流できる世界を意味している。しかし、コンセプトの面からも、具体的な製品としても、まだ明確にメタバースが定義されたわけではなく、多様なアプローチで開発が進められている。

 Fortune Business Insights社の調査によると、メタバース市場は2021年の638億ドルから年率47.6%で成長し、1兆5,275億ドルへ達すると予測された。ゲームやエンターテインメントの分野で発展しているが、コロナ禍で場所を問わずにコミュニケーションをとる必要が生じたことも後押しし、オンラインでの共同作業や商談、リアル世界と連動したシミュレーション用途などにも活用が期待されている。

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リアル世界と連動し、さまざまな用途で活用される可能性がある
(出典:Getty Images)

 メタバースはさまざまな技術要素から構成される。仮想世界でのユーザーを表すアバターや、仮想世界の中で扱えるデジタルアセット、それらを売買するマーケットプレイスが必要となる。また、売買するために、暗号資産(仮想通貨)や電子マネーを介した決済機能も求められる。仮想世界に没入するVR(仮想現実)/AR(拡張現実)ハードウェアの進化も欠かせない。

 米国の投資家Matthew Ball氏は、メタバースが持ちうる特徴として以下の要素を指摘している
・Be persistent(停止や終了の概念がなく、永続し続ける)
・Be synchronous and live(現実と同様、全員にとってリアルタイムの体験)
・Be without any cap to concurrent users(同時接続数に限界がなく、誰もが同時にイベント・場所・活動に参加できる)
・Be a fully functioning economy(資産の創出・保有・投資・売買による経済圏)
・Be an experience that spans both digital & physical worlds(デジタルとリアルにまたがった体験)
・Offer unprecedented interoperability(異なるデジタル世界の相互互換性)
・An incredibly wide range of contributors(ユーザーによるコンテンツや体験の生成)


M2の優れた技術

 メタバースの発展のためには、同時接続数の限界を引き上げることは必須だ。M2(エム・スクエアード)は、メタバースを実現するソフトウェア基盤として開発が進められてきたが、その技術の優れた特徴のひとつに同時接続数の多さが挙げられる。M2の技術を用いれば、1万人が同時に参加可能であり、1秒あたり3億5,000万回の操作が処理可能になると言う


 さらに、M2は、メタバース間にある相互接続性の課題にも取り組んでいる。たとえば、ひとつの仮想空間で購入したアイテムが、別の仮想空間に持ち運べなければ、投じた資金が無駄になるリスクがあるので、購入を控えるユーザーや、利益を最大化できないクリエイターが発生する可能性がある。

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M2がユーザーに提供する価値
(出典:筆者作成)

 その点、異なる仮想空間へデジタル資産を持ち運べれば、投資した資金・労力が失われるリスクを軽減できるため、メタバース経済圏の発展に寄与することが期待される。M2はブロックチェーン技術を活用し、デジタル資産の管理を実現する見込みだ。

【次ページ】世界中の企業がM2に注目
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