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- 2015/10/28 掲載
「住民投票」が変える地方創生の未来、地方の「議会不全」を正す“武器”になる
「ツタヤ図書館」に住民が反発
しかし、市民団体「小牧の図書館を考える会」が図書館の質を落としかねないと反発、8月に5,713人の署名を添え、住民投票条例の制定を直接請求する。市議会はこの条例案を否決したものの、議員提案の住民投票条例案を可決した。
即日開票の結果、賛成票2万4,981票(43.6%)に対し、反対票は3万2,352票(56.4%)。住民投票の結果に法的な拘束力はないが、条例では市長、市議会が投票結果を尊重すると定めている。CCCは20日「小牧市と契約中のアドバイザー業務を解消する方向で協議を進めている」とし、計画が事実上白紙撤回されたことを明らかにした。
投票結果に影響を与えたのは、いわゆる「ツタヤ図書館問題」だ。CCCは佐賀県武雄市で図書館の指定管理者となり、図書館にスターバックスコーヒーや蔦屋書店を組み込む斬新なアイデアで初年度92万人の来館者を集めた。武雄市の推計によると、経済効果は20億円に上るという。
この成功を機に、神奈川県海老名市や宮城県多賀城市でもCCCが図書館の管理者となったが、その後、古い雑誌や実用書など選定基準対象外とみられる書籍を蔵書にしていたことが明らかになり、売れない在庫を図書館に押し付けたと批判されており、小牧市の反対運動につながった。
反対多数で国の補助金辞退
市内に公式競技に対応できるスポーツ施設がないことを建設理由としていたが、反対住民から市の財政悪化を懸念する声が相次ぎ、住民投票に持ち込まれた。結果は賛成1万5,101票(19.2%)、反対6万3,482票(80.8%)。反対が賛成を大きく上回った。
市は計画を撤回し、国から内示を受けていた15年度分の補助金を辞退した。19年に予定される茨城国体での体操、新体操の開催も、競技基準を満たす会場がないとして辞退する意向を示している。
相次ぐ議会での条例案否決
住民投票は、欧米で地域の独立から小さな行政サービスの可否まで幅広く実施されている。日本では憲法や地方自治法、合併特例法、大都市地域特別区設置法に規定され、地方議会の解散請求や首長、議員の解職請求、市町村合併、特別区設置の可否などが問われるが、一般には自治体の条例に基づき特定事案の是非を問うケースを指す。条例による住民投票は1996年、当時の新潟県巻町で原子力発電所建設の可否を問うたのが皮切り。2000年に徳島県徳島市で吉野川第十堰の可動堰化計画、10年に長野県佐久市で文化会館建設の賛否が問われるなど、各地で毎年、住民投票があり、代表民主制を補完する手段として定着した感もある。
【次ページ】過去20年の住民投票はどうだったか
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