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- 2015/07/08 掲載
日本製のマーケティング・オートメーションツールこそが「世界で勝てる」理由
トライベック・ストラテジー 後藤 洋 社長に聞く
ネットという新しい顧客接点の重要性
──まずは御社の事業内容をお聞かせください。後藤氏:Webコンサルティング事業を、創業時から一貫して行っています。これは単に「ホームページをきれいに作り直しましょう」ということではありません。たとえば主力のオウンドメディアコンサルティングでは、Webを通したお客さまとのコミュニケーションをどう“デザイン”すればよいのか、そして自社ブランドをどう構築すれば売上が上がるのかというビジネスに直結する本質的な取り組みを支援しています。
オウンドメディア:企業が自社で所有するメディアのこと。ペイドメディア(他社のメディアに広告費を支払って掲載すること)、アーンドメディア(ソーシャルメディアなどのいわゆるクチコミ)と合わせて、トリプルメディアなどと呼ばれる。
商品にはストーリーがあり、企業戦略にもストーリーがあり、それを伝えることがとても大事です。今の日本企業の多くはまだまだ、そういった領域が苦手なようにも見受けられます。どんな企業も、人間がそうであるように、長所を必ず備えているはずですが、それは当事者自身にはなかなか分からないものです。デジタル技術によって、長所を引き出すお手伝いをするのが我々の使命です。
――具体的にはどのようにして長所を引き出すのでしょうか。
後藤氏:我々は、「サイトの良さ」を数値化するロジックを持っています。たとえば47都道府県庁のサイトを対象にこのロジックによる調査を実施したところ、1位は沖縄県でした。見るからに沖縄らしい、沖縄を訪れたかのようなデザインのサイトです。2位は静岡県で、名高い漁港もある、お茶もある、世界遺産になった富士山もある、と地場の資源を活用して静岡の良さを訴えかけています。
このように上位の都道府県は地場の資源を上手にアピールできているのに対し、順位が下の都道府県のサイトには、たとえば「知事の言葉」などが多く載っていて、閲覧した人が魅力を感じるつくりにはなっていません。企業サイトも都道府県サイトも基本的には同じことで、その企業の本当の良さがきちんと伝わることが大切で、我々は独自のロジックをもとにその長所を引き出すことができます。
マーケティング・オートメーションという潮流
――デジタルマーケティング業界の最新の動向を教えてください。後藤氏:いま最も注目を浴びているものの一つが、マーケティング・オートメーション(MA)でしょう。日本の消費者の動きは非常に複雑化しています。店舗を訪れ、ウィンドウショッピングを楽しみ、ネット検索をして比較をし、また店舗にも行き、結局はECサイトで買う…といったような動きです。この複雑な動きを「見える化」して、マーケティング活動を最適化できるのがMAツールというわけです。
POS情報や来店者情報、Webのアクセスログなど、大量のデータを保有しているとして、肝心なのはそれをどう見るかです。消費者の感じ方を「見える化」できれば、具体的な打ち手を検討して、次の一歩を踏み出せます。今のマーケティングの潮流は、見える化への投資です。IDC Japanの調査によれば、MAツールも含めたデジタルマーケティング関連の市場規模は、2014年から2019年で1.6倍になります。一方で、日本に導入されているMAツールは、たったの1.8%に過ぎません。それに対してアメリカは62%です。そのため、MAツールのほとんどが欧米製なのです。
――なぜ日本では、MAツールの導入が進まないのでしょうか。
後藤氏:大きな理由の1つは、日本人にとって使いづらいことです。設計思想がそもそも欧米式であり、用語も操作感も馴染みにくい。サポート体制も日本の代理店ではどうしても不充分で、「回答に1ヶ月かかります」と言われてしまうこともある。これでは、使いこなせと言われても無理があります。問題意識はあっても、その解決を後押しする手段がなかなか出てこない状態なのです。
オールインワンのパッケージで、分かりやすい操作で、すべてが見られたらいい。見えれば、考えるきっかけになり、考えをどんどん実行して仮説を検証してゆく、いわゆるPDCAサイクルを回していくことが可能になります。こうしたことを実現するべく我々が先日リリースしたのが「ヒラメキ・マネジメント」です。
【次ページ】 サイトの価値を金額換算するロジックとは?
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