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日本企業のデジタルマーケティングに対する取り組みが本格化している。IDC Japanの調査によると、データ活用型マーケティング関連ソフトウェア市場(デジタルマーケティング市場)は現在、806.4億円。これが2019年には1,300億円に成長する見通しだ。一方で、「東京五輪の開催される2020年に向けてマーケティング強化で何をするか?の質問に、『何もしない』という回答が31.2%を占めており、危機感を感じている」(IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ グループマネージャーの眞鍋 敬氏)という。
デジタルマーケティングが注目を集める背景には、大きく3つの要因があるとIDC Japan ソフトウェア&セキュリティ グループマネージャーの眞鍋 敬氏は指摘する。
1つ目が、顧客の購買行動の変化だ。ものを買うのに、インターネットで口コミを調べ、SNSからユーザーの評判を聞いたうえで、リアルな店舗に行く。さらにそこで買わず、スマホでECサイトから購入してしまう。
「ビジネスバイヤーも同じだ。米国ではビジネスバイヤーの半数が、営業が来る前に何を買うのかを決めてしまっている。つまり営業を呼ぶのは最終交渉の時のみだ。したがって、製品のブランドを高めるコンテンツやインフルエンサーに依頼するといったプリセールスの取り組みが非常に重要になっている」
2つ目は、購買の決定要因の変化だ。具体的には、パーソナライズされたコンテンツが求められている。たとえば旅行でいえば、かつてはパッケージ旅行が主流だったが、今は大きく変化した。
「同じホテルに宿泊するにしても、そのあとは自分だけの体験をしたいという要望がある。たとえば60代の老夫婦であれば、それにマッチしたパッケージにしないとまったく振り向いてくれない」
ソーシャルメディアの普及はもちろん、パーソナライズ技術の向上、コンテンツにもとづいた購買誘因が大きな力を持つようになった。
3つ目は購買環境の変化だ。いつでもどこでも購入できるモバイルデバイス経由のEC(ネット通販)が大きく伸長している。「かつてあったECに対する懐疑的な意識がなくなってきた」。
こうしたことから注目されているのが、マーケティングオートメーション(MA)などのデジタルマーケティングツールだ。中でもMAはビジネスプロセスの自動化、マーケティング施策の見える化などが行えるとあって、ユーザー企業からの期待値は高い。
「分析と自動化を使って、お客さま個人に最適化されたメッセージを出していく。さらにリアルタイムのオファリングを行い、お客さまのリピートを作っていくことが必要になっている。これがないと企業としての競争力がなくなるということ」
一方で、日本市場はMA製品の導入が大きく出遅れていると眞鍋氏は指摘する。マーケティングオートメーション市場の比較を行うと、全体の65億ドルのうち、米国は62%、EMEAは31.9%を占めるのに対して、日本はわずか1.8%に過ぎない。
「一般的なIT製品の日本市場の規模は5%~7%に対して、MAではわずか1.8%に過ぎない。これは日本のエンドユーザーの導入が非常に遅れていることを示している。海外に出て行って海外で戦おう、海外ベンダーが日本に来たときに戦えるのかという点で、日本企業の大きな不安材料になっている」
【次ページ】デジタルマーケティングで相次ぐ新規参入、代表企業8社とは?
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