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  • 2014/10/30 掲載

IBMに聞くデジタルマーケティング製品戦略、今後はIBM ExperienceOneに統合へ

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2011年3月から、“スマーター・コマース”という次世代商取引のコンセプトをグローバルに提唱しているIBM。このコンセプトは、スマートフォンやソーシャルメディアなどによって、より“スマート”になった消費者を中心に据えた新しいビジネスモデルを4つの領域に分類して定義したものだ。近年急速な市場拡大を続けているデジタルマーケティング関連のソリューションも、同社においては、このコンセプトの元に展開されている。日本IBMの浦畑奈津子氏に、日本でも急速に立ち上がるデジタルマーケティング市場の動向ならびに、同社マーケティングソリューションの概要、そしてその展開について話を聞いた。

顧客起点で4つの領域にわたる商取引全体を一気通貫で最適化する

 IBMがグローバルに提唱するスマーター・コマースは、日本国内においては2014年6月にローンチされた。先にも述べた通り、スマート化した顧客を起点にした新しいビジネスモデルを定義したものとなる。

 「IBMでは顧客起点の次世代商取引を、Buy(購買)、Market(マーケティング)、Sell(販売)、Service(サービス)という4つの領域に分類し、これらを一気通貫して最適化を図ることで顧客企業の売上向上に貢献することを考えた。これがスマーター・コマースのベースとなっている考え方だ」(日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業 スマーター・コマース営業部 マーケティング・スペシャリスト ソフトウェアセールス・スペシャリスト 浦畑 奈津子 氏)。

 その背景にあるのが、「オムニチャネル」といった言葉で表わされるような消費者の購買活動の大きな変化だ。現在の消費者はスマートフォンの利用を中心に、通販サイトやリアル店舗などにも自由に行き交い、自分が欲しい情報を能動的に取得し、時間と場所に縛られることなく、いつでも、どこでも購買活動を行うことができるようになっている。

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オムニチャネル化する顧客とのコミュニケーション
(資料提供:IBM)


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 こうした消費者の変化に対応していくためには、すべての商取引を顧客の目線で捉え直す必要がある。そこでIBMでは、顧客起点で4つの領域にわたる商取引全体を一気通貫で最適化することを目指した。

 同社では数年前から、デジタルマーケティング分野における各種ソリューションベンダの買収を積極的に推し進めているが、浦畑氏はスマーター・コマースを「買収活動のずっと以前からIBMが考えていたコンセプトで、端的に言えば最近の買収活動も、このスマーター・コマースの元、特にこれまで我々がまったく有していなかったマーケティングファンクションを組み込んでいくことを狙ったもの」と説明する。

 そして「いわば今まで不足していたピースを埋めていくことで、購買/マーケティング/販売/サービスという4領域を一気通貫で最適化することを、現実のものとしていくための取り組みの一環だ」と強調する。

IBMのマーケティングソリューション概観

 スマーター・コマースで4つに分類された商取引プロセスのうち、マーケティングの領域に相当するソリューションが、冒頭でも触れたIBM ExperienceOne(旧IBM Enterprise Marketing Management=IBM EMM、IBM ExperienceOneの日本国内での正式発表は未定)だ。

 IBM ExperienceOneの詳細は後述するが、同ソリューションは買収ベンダの製品も含む複数のソフトウェア群から構成されるスイート製品で、販促キャンペーンの立案から効果測定、Webサイトにおけるユーザーアクティビティの分析、売上/利益を最大化するためのプライシング支援など、マーケティング業務に必要な各種機能を提供することで、ユーザー企業におけるマーケティング活動をトータルに支援するものだ。

 これには、IBMが2010年に買収したキャンペーン管理ソリューションの旧Unica(ユニカ)製品群や、Webサイト分析ソリューションの旧Coremetrics(コアメトリクス)製品群も含まれる。

「我々が提供するソリューションの大きな特徴は、買収した製品群を一度モジュール単位に分解して、十分に精査した上で、IBM独自の製品も含めて適宜必要なものを組み合わせ、ユーザー企業が必要とするワンストップの製品を作り上げているということ。これによってユーザー企業はストレスなく、我々のソリューションを利用することができる」

 ここでIBMの提供するマーケティングソリューションの全体像を簡単に整理しておこう。

 IBMでは自社の提供するマーケティング関連のソリューションを、4つの分野に分けて提示している。各々、オペレーション支援(=CRM)、コミュニケーション設計(=Enterprise Marketing Management)、分析と予測(=Business Analytics)、クロスチャネルのデータ統合(=Data Management Platform)で、このうちのコミュニケーション設計を支援するのが、IBM ExperienceOneという位置付けになっている(下図のEnterprise Marketing Management)。これはスマーター・コマースにおけるマーケティング領域のソリューションにほぼ合致するものだ。

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IBMのマーケティングソリューション概観
(資料提供:IBM)


 また、顧客とのコミュニケーションチャネルを、EメールやDMコンタクトといった“アウトバウンド”と、Webや対面営業などの“インバウンド”とにきっちりと分けて考える必要があり、その上で「各チャネルで収集されたコンタクト情報を一元的に管理して、活用できるマーケティング・プラットフォームが必要だ」という。

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顧客とのコミュニケーションに求められるカバレッジ
(資料提供:IBM)


【次ページ】マーケティング・プラットフォームに求められる3つの要件
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