- 会員限定
- 2014/02/27 掲載
慶應大 余田拓郎 教授に聞く、デジタルBtoBマーケティング 技術力ある企業こそ武器に
日本企業は製品の値付けが下手、原価計算から脱出せよ!
何といってもプライシング、即ち製品・商品の価格付けが非常に下手だと思います。
原価をもとに利益を乗せるだけの価格付けを行っている企業が非常に多い。本来、マーケティングで考えれば、価格は顧客の予算や競合会社の値付け、そこに原価も加味しながらトータルで考えて、戦略的に設定すべきものです。それが単なる原価計算だけで終わっているのです。
企業全体の視点からの取り組みが行われていない状況は何も価格だけではありません。他のマーケティングの4P、製品(Product)、販売チャネル(Place)、プロモーション(Promotion)についても同様で、マーケティングにぶら下がるさまざまな機能を統合して、戦略的な一貫性を持たせることに失敗しています。
日本企業は市場ニーズを把握するための市場調査がマーケティングだとか、営業活動を側面からサポートする組織がマーケティング部門だとか、あるいは広告宣伝活動をマーケティングと称している企業もあります。
経営学者のドラッカーは、“企業の成長にはイノベーションとマーケティングが欠かせない”と述べていますが、その意味合いは、どちらも全社を挙げての取り組みとして必要なものだということです。製品やサービスを売ることに全神経を注ぎ、それを皆で支える。これが本来の意味でのマーケティングです。
──そもそもBtoB企業とBtoC企業のマーケティングは何が違うのでしょうか。
決定的に異なるのは、BtoB企業は多くの場合、顧客とのやり取りの中で、顧客の購買スペックが確定していくということです。BtoBでは顧客の要望を聞き、それを擦り合わせながら、じわじわと購買スペックが決まり、納入スペックが決まり、最終的な製品設計が行われる。いわば“事後的に製品が決まる”のです。
これに対してBtoC企業では、事前に企業側が市場ニーズを把握して購買スペックを決定し、製品設計に盛り込み、市場に投入します。製品を販売後、はじめて本当に市場のニーズを満たしているのかどうかを検証できるので、当然こちらのほうが企業にとってはリスクが高いと言えるでしょう。
BtoB企業よりもBtoC企業のほうでマーケティングが進んでいるのは、こうした理由が背景にあるからだと考えられます。
両者が近付いてきているというのは間違いないと思います。
BtoC企業におけるマーケティングは、この20年間のテクノロジーの進化などに伴って、マスマーケティングからOne to Oneマーケティングへと進化してきました。一方のBtoB企業では、最初からOne to Oneでした。しかしずっとOne to Oneでビジネスを行ってきたために製品ラインナップが膨れ上がってしまい、高コスト体質になってしまいました。
そこでBtoCマーケティングの発想、つまり製品ラインを絞り込み、セグメンテーションを行い、ターゲティングをして、その領域の顧客ニーズを満足するようなコンセプトの製品を投入していくという考え方が出てきます。それによってコスト競争力も付きます。
テクノロジーの進化に伴って、BtoCマーケティングの考え方をBtoBにも当てはめられるというのは事実です。
【次ページ】CMOの設置や全社的なマーケティングへの取り組みで大躍進した企業とは?
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました