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- 2024/02/15 掲載
「雰囲気は良いけど業績は伸びない職場」に決定的に欠けている視点
「雰囲気の良さ」から追うリーダーの勘違い
最初に断言します。雰囲気の良い職場を築こうとするだけの努力は意味がありません。雰囲気を良くしたほうが社員同士の結束力が高まり、会社として成果を残しやすくなると考えられがちですが、そもそも順番が逆なのです。親友同士で会社を興しても、業績不振により袂(たもと)を分かつケースは珍しくありませんし、業績が好調であれば職場の雰囲気は自然と良くなります。
「社員同士で何でも相談できる職場です」
「代表や役員、メンバー関係なく、積極的にコミュニケーションを図っています」
このようにアピールする企業も多いですが、雰囲気の良さを重視する職場では、遅刻を繰り返したり自分の仕事を放置したりする社員に厳しい指摘がしづらいことも多いです。その状態が続くと、ルールが形骸化して統制が取れなくなります。
成果を残せる会社・チームへの第一歩は、ルールの構築です。個人の能力に関係なく、誰でも守れるルールを作り、それを社員やチームメンバー全員に順守させてみましょう。そのルールを全員が順守するようになれば、たとえ組織やチームの方針が変わろうとも社員は即座にそれに従うようになりますので、成果を残しやすくなるのです。
「雰囲気の良い職場にしたい」「社員に働きやすい環境を提供したい」という思いでルールの設定を嫌がる経営者やリーダーがいますが、そのせいで社員が働きにくくなっていることをまずは自覚してください。
社員に「どうせ言ってもムダ」と思わせる職場に欠けているもの
心理的安全性とは、組織内で誰もが自分の考えを率直に伝えられる状態を指します。これは、成果を残し続けるために、すべての経営者やリーダーが目指すべき状態だと言えるでしょう。もし、「こんなことを言ったら嫌われるかもしれない」と気にする社員がいたとしたら、それは心理的に安全とは言えません。
なぜ、ルール設定が心理的安全性の向上に寄与するのか。人間は同じルールに従う人を仲間だと見なす特徴があるからです。ルールに従うとは自分の価値観を最優先しないことでもあり、そのルールを守りさえすればお互いに安全だと認識できます。
雰囲気の良さを重視する経営者やリーダーも、本当は心理的安全性を高めたいのでしょう。たしかに、雰囲気を大事にすることで社員同士が表立って衝突はしなくなるでしょうが、全員が自分の価値観に従って行動する限り、意見は必ずぶつかります。
そして結局、誰かが我慢を強いられるのです。「どうせ言ってもムダだな」と社員に思わせるような組織は、間違いなく心理的安全性が低い状態です。 【次ページ】“超自由”な会社で、離職が多発した本質的理由
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