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- 2023/06/23 掲載
【パリ航空ショー現地レポ】空飛ぶクルマ、脱酸素、エアバス最新機…注目動向と独自取材
連載:「北島幸司の航空業界トレンド」
パリ航空エアショーで注目集める「脱炭素化」
航空業界は、他の業界にも増して排出ガスに敏感になることから、とりわけ地球温暖化を抑制するための展示物の多さを身をもって感じた。航空業界の脱炭素化は待ったなしであり、関連する特別展示として「パリエアラボ」と「パリエアモビリティ」が注目を集めていた。「パリエアラボ」では航空業界の脱炭素化に向けた取り組みが紹介された。地元エアバスの手掛けるゼロエミッション機模型や、オープンファンというエンジン機のA380模型など最新の技術や研究が展示され、未来への道筋が示されている。訪れた人々は、地球温暖化に対する航空業界の責任感と取り組みを感じながら、展示物に見入っていた。
斬新な形状 米国の空飛ぶタクシー
そして、「パリエアモビリティ」のエリアでは、アーバンエアモビリティ(UAM)を開発、製造する企業の展示が行われていた。ここでは、空中タクシーや個人用の空飛ぶ乗り物など、都市部における移動手段の可能性を探る最新の技術が披露されていた。まだ目にしたことの無い来場者がほとんどであり、新しい移動手段の出現とモビリティの斬新な形状に興奮と驚きの声が広がり、未来の都市交通における新たな展望が描かれていることを実感できた。特に米国アーチャー社のUAM「ミッドナイト」の新鮮なデザインに度肝を抜かされた。
航空機エンジンの電動化に伴い参入業者の裾野が広がることとなったが、そこに日系企業も名を連ねていた。エンブラエルが手掛けるアーバンエアモビリティEVEへの駆動系電気推進システムの開発にニデックを起用することが発表された。エンブラエルとニデックの両社はニデックエアロスペースLLCとの合弁会社を設立することで合意発表した。
航続距離の長いモビリティの実現へ、「カワサキモータース」
同じくUAMのボルトエアロはカワサキモータースとエンジンの供給で合意したことを発表。カワサキモータースの伊藤 浩社長は会場で初めてお披露目された機体「CASSIO330」の前で次のように述べた。「川崎重工業で分社化したカワサキモータースは、2輪、4輪へのエンジン供給をベースに他のモビリティへの可能性を考えていた時にボルトエアロと出会いました。純粋なエンジンからハイブリッド、水素系、電動へと変化する中で、航空機への駆動系搭載を実現したいです。これにより都市交通としてのUAMよりも航続距離の長い汎用(はんよう)性の高いモビリティに挑戦できます」(伊藤氏) 【次ページ】日本唯一空飛ぶクルマの開発製造を行う「スカイドライブ」独自取材
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