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- 2023/06/16 掲載
【パリ航空ショー】スペースジェット撤退 三菱重工、川重、IHI…注目の航空大手の動きは?
連載:「北島幸司の航空業界トレンド」
世界最大規模の航空ショー「パリ・エアショー2023」が開幕
欧州航空ショーのシーズンが近づいてきた。第54回パリ・エアショー2023は6月19日から25日までの7日間、パリ近郊ル・ブルジェ空港で開かれる。隔年に実施となり、前回2021年はコロナ禍で中止となったため、2019年以来の開催となる。偶数年には英国ファーンボロで行われており、英仏交互開催の欧州航空ショーとして世界最大規模をPRする。筆者も現地を訪れる予定だ。世界の民間航空業界では、まとまった機材発注を行う中東系の勢いが増す中、ドバイ航空ショーが注目を浴びている。また、アジアではシンガポール航空ショーに関心が寄せられており、今後の充実が期待されるところだ。
世界の代表的な見本市を目的とする航空ショーは他にもドイツのILA Berlinがあり、東側諸国でも中国国際航空航天博覧会(珠海航空ショー)、ロシアのMAKSなどがある。
シンガポール以外のいずれの航空ショーも空港で行われるのが基本となる。展示は、屋内展示場に加え、地上展示機の機体を見せるための基地となる「シャレー」と呼ばれる屋外展示場も用意される。地上展示機が会場を埋め尽くし、時間になると地上展示から移動した機材がフライトディスプレイに向かう。他空港からの飛来も含め見本市でも飛んで見せるのが海外の航空ショーである。
世界の航空界を2分する米国と欧州であるが、見本市としての航空ショーは、欧州が主導を握る。米国でのものは、実質観覧が中心の軍事航空ショーの色彩が濃厚で、地上に加え飛行展示を行う空軍や海軍の戦闘機などが参加する。
航空ショーの目的は何だろうか。ずばり、航空機の売買の商談の場といえよう。普段以上に注目されることから宣伝効果が高いのだ。世界を2分するボーイングとエアバスは、1機数百億円の航空機の機体の受注を競い、発注側のエアラインもこの航空ショーに向けて発注を調整する。展示の一例ではリージョナルジェットを製造するブラジルのエンブラエル、ビジネスジェットを製造するダッソー、軍用機で名をはせるロッキード・マーチンやエンジンメーカーなども顔をそろえる。
注目集まるアーバンエアモビリティ
今年のパリ航空ショーでの商談は、コロナ禍3年の航空業界の低迷を払しょくしようとする動きから活発になる期待が高く、航空機エンジンを含めて周辺の航空機部品の売買も旺盛になると予測される。今年の展示は他にエアモビリティに注目が集まる。アーバンエアモビリティ(UAM)やイーブイトール(eVTOL)と呼ばれる電動垂直離着陸型無操縦者航空機が「パリエアモビリティ」の特別展示として披露される。日本では「空飛ぶクルマ」の製造で注目される愛知県の「SkyDrive」はCEOの福澤知浩氏が現地にて記者会見を行う。2050年のカーボンニュートラルな世界を目指し、持続可能な航空燃料(SAF)が話題になる中、航空業界も環境問題は大きく取り上げられる課題となっている。
パリ航空ショーの会期は1週間ある中、開会から4日間はトレードデーでB to B、そして続く3日はB to Cで学生を含む一般観覧者を受け入れる。ここに例年、日本企業が屋内展示を行い、防衛省は輸送機などを地上展示している。
日本の航空工業界はパリにおいてどのような方向性を打ち出すのだろうか。大手日系企業の動向を追ってみた。 【次ページ】日本はどのようにアピール?スペースジェット計画中止後「三菱重工」の動向
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