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- 2023/03/22 掲載
【業界激震】中国大手航空会社が輸送力世界1位 急成長の理由 日本に勝機は?
連載:「北島幸司の航空業界トレンド」
コロナ禍で激変した航空業界 なお米国一強
まずは、航空業界から展望してみよう。航空業界の規模を図る指針はいくつかあるが、輸送力データのひとつとして注目されている数値が、エアラインの有償旅客キロ(RPK)だ。RPKとは航空券を購入し搭乗した旅客数に搭乗距離を乗じた数字で、エアラインの輸送力を示す最適な数字とされる。英航空データ分析会社「シリウム(Cirium)」は、毎年輸送力ランキングを発表している。
最新データで2021年分のTOP200が発表された。ここからコロナ禍で激変した世界の航空業界の浮沈がわかる。
TOP3はすべて米国のエアラインである、アメリカン、デルタ、ユナイテッドの順となった。この3社は常に近似のデータの中で競う世界レベルのメガエアラインと言えるだろう。
4位には元祖LCCと言えるサウスウェスト航空が入り、航空大国米国を象徴する4社の顔触れがそろった。以降TOP200以内に15社の米国エアラインがランクインし、全社合計で1兆984億RPK。2位の中国を大きく引き離して不動の1位だ。
予想以上に低い…日本の航空輸送力
日本の航空輸送力はどうだろうか。今回の分析については、本邦エアラインはTOP200社の中にANAとJALを含めピーチとANA ウィングス上位4社のみランクインであり、正確な輸送力の比較ではない。ただ、この数値を見ればほぼ日本の輸送力がわかると言っても過言ではない。図表1のとおり、日本の世界16位、シェア1.5%という結果である。これは、予想以上に低く感じるのではないだろうか。
中国の航空業界のターゲットは米国にある。日本一の規模のANAと同レベルの輸送力を持つエアラインは中国に10社もあるのだ。いつの間にか、日本は中国にこれだけの大差をつけられている。中国は、日本の航空力の13.6倍、米国に至っては日本の24.6倍にもなる。
航空業界のビッグデータでは、このような国ごとのエアラインの姿を見いだすことができる。日本の航空行政がもっと活性化し、世界の中でも存在感を示すことのできるようにならなければならない。日本政府による航空行政の柔軟で開放的な運用を希望せずにはいられない。 【次ページ】米国の後追う中国 世界有数のエアラインを多数輩出の理由
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