• 会員限定
  • 2024/11/12 掲載

JALと東科大「新搭乗方式」は何がどうスゴい?ANAとの違いを教授に聞いた

連載:「北島幸司の航空業界トレンド」

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
16
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
CX(顧客体験)は、多くのサービス業にとって重要視される戦略の1つだ。日系大手のJALとANAは、その一環として定時性の確保に注力している。とある研究では、遅延防止によって年間75億円のコスト削減につながることも明らかになっている。最近、新たな搭乗方式を採用したJALとの共同研究に携わった、国立東京科学大学(旧東京工業大学) 教授 大佛 俊泰氏にCXと新搭乗方式について話を聞いた。
photo
図1:JAL/ANAの定時運航率表(定刻より15分以内に出発した便の比率)
(出典:国土交通省 航空局「航空輸送サービスの比較等に関する情報」より筆者作成)

80%代前半にまで落ちてきている定時運航率

 まず、ここ数年の日系大手両社の定時性がどのように推移しているか見てみたい。そもそも定時運航率とは、全体の便数に占める出発予定時刻以降15分以内に出発した便数の割合のことだ。コロナ前の2019年度の定時運航率は80%代後半だったが、最新の2023年度の数字は80%代前半にまで落ちてきている(図1)。

 一時的な定時運航率の回復は、2021年度の数字に見られる。同年度はまさにコロナ禍真っただ中であり、運航便数が少ないために定刻が厳守できていたと推測できる。

 一方2023年度は、コロナ禍での規制が緩和され、航空路線が急激に復活し、オペレーションやハンドリングを行う人材確保ができない事象は世界各国で見られた。それにより、定刻で出発できないケースが起きたと言える。

東大との共同研究によるANAのCX向上への取り組み

 続いて、ANAのCX向上を目指した全社的な取り組みを見てみよう。

 同社は2021年11月には「渋滞学」で知られる東京大学の西成研究室との共同研究を行い、新搭乗方式に変更した。具体的には、国内線と国際線において、グループ3以降の搭乗を窓側、中間席、通路側と5段階へ改めており、細分化された搭乗方式とした。従来のコンパートメントごとに搭乗させる方式以上に整然として、人流のかたまりが出来にくいことが検証されたようだ。

画像
羽田空港におけるANAの新鋭機ボーイング787-8
(写真:筆者撮影)

 また同社は、全社で取り組むDX戦略の中に、CXとエンプロイー エクスペリエンス(EX)とサステナビリティ トランスフォーメーション(SX)を組み込んでいる。社員・顧客・環境の各分野でデジタル化を加速するという内容だ。

 さらに「CX戦略会議」を設置し、各部門の代表者が、定時性や快適なサービスの提供を含めたCX全般の改善策を議論している。

 続いて、JALの取り組みを見てみよう。 【次ページ】東京科学大学大佛氏に聞いた、JALとの共同研究の全貌
関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます

関連コンテンツ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます