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- 2024/06/07 掲載
1.8億回再生を超えるJALのTikTok、中の人が明かすSNS活用の裏側
連載:「北島幸司の航空業界トレンド」
総再生回数は1.8億回超え、有志メンバーでTikTokを運用
同社のSNSは、国内外でX、Instagram、TikTok、LinkedInにまで広がり、フォロワー数を広げている(図1)。図1では、グループ会社、事業特化、海外特化型アカウントを除いている。直近開設したTikTokは、社員やタレントを動画に出演させるなどユニークな内容で、総再生回数は1.8億回を超える(24年5月時点)。
運用体制は、SNSアカウント単位で担当が分かれており、企画立案と運営をメイン業務とする職員が約10名いる。例外的にTikTokは、パイロットや客室乗務員、グランドスタッフを含めた同グループ内有志メンバーが中心となって運営する。
日常業務としては、各種SNSでの発信内容の企画立案、グループ内で企画を主管する部署との発信媒体・内容に関する調整、投稿文作成や動画・写真撮影・編集、投稿作業、投稿後の効果測定である。一部の投稿は外部に委託している。
海外向けのSNSでは、同社の認知度を高める拡散力のある発信を心掛けていることから本邦とは違い、インフルエンサーを起用したり、1つのコンテンツを複数のSNSで展開している。発信頻度は、1日あたり1~2回の投稿を週5~6日の頻度で投稿している。
投稿に出演するスタッフの多い順では、客室乗務員、パイロット、グランドスタッフ、次に整備やグランドハンドリングスタッフ、制服を着用していないオフィスワークのスタッフが出演するコンテンツももちろんある。
AI技術やデータ分析でユーザーの要望に応える
具体的には、投稿した動画のどこでユーザーが離脱したのか確認したり、写真の構図や被写体のどこに共感したのか推察したり、エンゲージメント数・率やコメント内容から知りたい気持ちにマッチしていたかを確認しているという。
デモグラフィック(統計データ)の視聴ユーザーとそのSNSアカウントのターゲットに大きな乖離が発生していないかチェックも怠らない。Xユーザーのオーガニック投稿含めたソーシャルリスニングの内容を関連部に伝え、サービス品質改善に役立てることもある。
同社は現在、tricoを中心に顧客との対話を強化している。AI技術やデータ分析の活用により、顧客の意見や要望を効果的に把握し、それをサービスの改善に活かしているという。また、コロナ禍で減らしていた顧客参加型のイベントやコンテンツの提供など、ファン同士のプロアクティブな交流を再開しており、このアプローチを通じて顧客との関係を深めている。
これらの取り組みは、同社の中期経営計画のミッション「地域のつながり」や「航空外事業」を意識したものだという。 【次ページ】TikTok活用で航空券予約数が270%に増加したワケ
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