- 会員限定
- 2024/05/23 掲載
4年越しに就航開始「空飛ぶクロネコ便」、ヤマトとJALが変える物流のあり方
連載:「北島幸司の航空業界トレンド」
ヤマトHDとJALグループの協業がいよいよ開始
ヤマトHDの貨物専用機は、まずは2機体制で1日9便を運航する。2024年夏ごろからは3機体制となり、羽田、新千歳間と羽田、北九州路線を増やし、1日13便の運航となるという。具体的には以下のとおり。-
(1) 東京(成田/羽田)=札幌(新千歳):6便
(2) 東京(成田/羽田)=北九州:5便
(3) 東京(成田)-沖縄(那覇):1便
(4) 沖縄(那覇)-北九州:1便
過去、日本の空でチャレンジされてきた国内航空貨物専用機の運用はことごとく失敗してきた。それだけに、今回の計画への期待が高まる。
陸送と空輸のウィンウィンな関係
なぜ陸送のヤマトHDは、空輸事業に着手したのだろうか。ヤマトHDによると物流を取り巻く環境は、以下のとおり大きく変わっている。- (1)2024年問題
- (2)ドライバー不足
- (3)少子高齢化・過疎化
- (4)労働力人口の減少
- (5)賃金上昇
- (6)気候変動の深刻化
- (7)車離れ
- (8)ワークライフバランス重視
このまま手を打たないでいると、トラックの運行が立ち行かなくなる恐れがある。
一方で、空輸の環境は以下のとおり整いつつある状況だ。
- (1)滑走路拡充による発着枠拡大
- (2)空港の拡張
- (3)航空運送事業者の増加
- (4)航空管制システムの進化
- (5)空港臨空の施設拡充
- (6)貨物地区の施設拡充
ただ、国内空輸では航続距離が短い機材でも運航が可能なことから、旅客便の小型・多頻度化によるコンテナ搭載機材の減少も生じている。陸送を空輸に置き換えることで両者にメリットがあるのだ。
また陸送では地震、事故や渋滞、海運では時化(しけ:海上が荒れること)などが起こりうる。空輸はそれを補完することができ、持続可能輸送モードの1つとして有効と言えるだろう。
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR