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2024年2月20日~25日の会期でアジア最大の航空ショーである「シンガポール航空ショー」が開催された。今回、中国機が初めて国外の航空ショーで展示とフライトを披露。航空機受注では、中国商用飛機(COMAC)がボーイング・エアバスに肩を並べ、大健闘の結果を残した。ここから中国機は、どのような戦略で世界で存在感を見せていくのだろうか。
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存在感増す中国COMAC
アジアの航空需要の高まりに伴い世界3大航空ショーの規模に近づきつつあるシンガポール航空ショーは、大きな話題と共に2月の会期を終えた。
通例、航空ショーの民間航空機部門は、エアバスやボーイングに加え、リージョナル機のエンブラエルとターボプロップ機の
ATR、そして
ビジネスジェットなどが各航空会社からの受注を競う場となる。しかし2024年は、中国製の2機種で計5機の旅客機が展示機に加わったことで、普段とは違う印象となった。
中国機とは、
中国商用飛機(COMAC)が製造販売する旅客機だ。2008年に70~100席サイズのリージョナルジェットとして「ARJ21」が製造され、初飛行した。次に2017年に150~200席内のナローボディ機の「C919」が初飛行を終え、中国国内の航空会社への引き渡しが始まっている。
そして現在、280席クラスのワイドボディ機として「C929」の試作機が製造段階に入っている。初期型のARJ21には旅客型を基本とし、ビジネスジェット、医療用、貨物機と多彩な構成で製造が進む。
ARJ21とC919は中国民用航空局(CAAC)での航空耐空証明(TC)の取得しか受けていないため、中国国内専用機との位置付けである。
ただ、ARJ21に関してはインドネシアのトランスヌサエアラインから受注を受け、2022年12月に国外デビューを果たしている。
というのも、インドネシア航空交通総局の情報によると、2022年7月に開催された第13回ASEAN・中国地域航空サービス協定作業部会での航空分野における合意が、当該機のインドネシアでの耐空証明にも及んだと思われる。
ボーイングvsエアバスvsCOMACの受注競争の結果
航空ショーでは展示機の披露が行われ、商品となる航空機が並ぶ。エアバスとボーイングは機体販売の最大のチャンスとばかりに、地上展示機に加え、派手なフライトを披露することが恒例となっている。しかし、今年はボーイングが民間機部門で展示機を用意しなかった。アジアが大きなマーケットの1つであるにも関わらず、だ。
それには理由がある。2024年1月にアラスカ航空の737Max機の非常ドアが飛行中に吹き飛んだことで、根本的に設計上の問題があると指摘を受け、米国航空局(FAA)の品質監査を受けることとなったからだ。
対するエアバスは通常通り民間機、軍用機、ヘリコプターを展示し来場者へアピールした。ただ、受注の機数はエアバスよりボーイングが多かった。
また、これまで欧米のメーカーが晴れの舞台としてきた航空ショーでの受注競争だが、アジアで初の中国が参入を果たした。
チベットは中国自治区の扱いなので、国内エアラインからの発注ではあるものの、COMACはチベット航空からARJ21を10機とC919を40機の合計50機を受注した。
表を見ると、機体の席数など大小を考慮しない単純な機数だけの比較では、中国のCOMACが50機と最大数を受注したことになる。国際航空ショーデビューにしては大健闘である。
【次ページ】COMACの今後の販売戦略
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