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  • 2024/12/05 掲載

関西万博「後」はどうなる?、JAXAら解説する空飛ぶクルマの進化、各社の最新動向

連載:「北島幸司の航空業界トレンド」

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2024年10月、6年ぶりに開催された国際航空宇宙展(JA2024)では、空飛ぶクルマを中心に、次世代の空のモビリティ実現に向けた最新の取り組みが紹介された。万博協会の公募で選定された空飛ぶクルマ事業者4社すべてが、大阪・関西万博開催期間中の人員輸送に関し、商用飛行ではなく、デモフライトの実施を決定した。万博の果たす未来社会ショーケース事業としての役割が1つ実現しなくなったわけであるが、すでに事業者は万博のその後に向かっている。本稿ではこれらを念頭に、国際航空宇宙展で発表された行政、民間各社の動きを紹介し、空飛ぶクルマの現在地を解説する。
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デモフライト実施4社の機体比較と使用ポート案内

空飛ぶクルマの社会実装に向けた行政の取り組み

 まず、国の動きから見てみよう。

 国土交通省は、ドローンや空飛ぶクルマの安全な飛行を確保するため、航空法に基づいた飛行空域やセキュリティルールを整備している。2022年にはドローンの登録制度を開始し、事故や無許可飛行を防いでいる。ちなみに現在の登録機数は42万機までになったという。2023年度には空飛ぶクルマの機体基準や操縦者の技能証明基準を策定し、安全管理のための制度的な基盤を固めようとしている。

 経済産業省は、旅客輸送における空飛ぶクルマの利活用を推進している。現在は、官民連携による実証実験支援や制度整備を進め、今後の産業発展を見据えた基盤作りを強化している。

 米国では空飛ぶクルマが中距離移動で使われる一方、日本は短距離の都市間移動の用途を念頭に整備していくという。また、離発着場の認証では「バーティポート(空飛ぶクルマの離発着場)」にも環境配慮が必要とし、最初は現存のヘリポートの活用から始めるという。

JAXAの次世代空モビリティ技術開発

 JAXAは、空飛ぶクルマの運航管理技術に関する研究開発を進めており、航空利用拡大イノベーションハブとして、200人弱の体制を構築する。災害や緊急時における有人・無人機の安全管理技術に注目し、低騒音化のための機体設計など、社会受容性を高めるための技術開発に取り組む。2030年代前半の空の移動革命実現に貢献するために、管制や運航管理システムの整備を進めるという。

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JAXA
航空利用拡大イノベーションハブ長
又吉 直樹氏
(写真:筆者撮影)

 特に、現存のヘリコプターと次世代のドローンや空飛ぶクルマとを共存させるために、衛星通信を使った災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)を開発し、同一地域での複数のモビリティをコントロールすることも考えている。

 統合的な空の運航管理技術を行うコンチェルトプロジェクトでは、(1)接近回避(2)効率的な運航(3)迅速な運航調整(4)ドローンなどの低高度飛行体との共存という4項目を課題と考え、それぞれを解決するための技術開発を進めている。

 将来的に、都内で空飛ぶクルマが飛ぶようになると、運航頻度は23区内で数10機のレベルでコントロールされるようになるという。 【次ページ】3億9,000万円の予算で進める大阪府の取り組み
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