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・「テレビ番組規模コンテンツ」の先取りができている
インフルエンサーの観点からは、こういったテレビ番組のような規模のコンテンツがYouTubeでももっと増えてくるとDJ社長は予想する。
「BreakingDownは、地上波で流せるような規模の格闘技イベントと同レベルで運営しているように見えます。地上波レベルの品質や投資を行ったイベントをYouTubeとSNSだけで流すのは、今までだったら『もったいない』という感覚だと思いますが、圧倒的に品質が高く、オーディションや試合も含めて無料だから、みんなバーッと集まったのだと思います」(DJ社長)
BreakingDown6は、PPV(ペイ・パー・ビュー)の割合が多くなった。つまり、BreakingDown5までばらまきで、BreakingDown6からはしっかり収益を出そうという試みだが、DJ社長氏は「PPVは絶対にやるべき」だという。もちろん視聴者からの賛否はあるだろうが、海外でも格闘技ほどPPVと相性のいいコンテンツはないとDJ社長氏は強調する。
運営側が再生数を取るか、話題を取るか、お金を取るかによるが、収益が出てビジネスで成功していることは間違いない。
今回、100万人以上登録者のいるYouTuberが会場に何十人も集まっていた。これから大きく勝ち続けるコンテンツを作れるのは、登録者数が多いYouTuberを呼べる規模のYouTubeコンテンツになるだろう。
「なぜなら、テレビ番組でやってもおかしくないような規模のYouTubeは、リッチコンテンツか生配信的なもの、ラジオのようなあまりコストがかからないものに二極化していくと考えているからです。僕はこの二極化が、当面のYouTubeの潮流であることは間違いないと見ています」(DJ社長)
コストがかからない「ラジオ感覚」のほうは新規のYouTuberでも参入できるが、大セットを組める日本のYouTuberは数組程度しかいない。
「つまり、莫大な投資と見合う収益が出せる人という意味で、ヒカル君だったり、朝倉未来さんだったりだと思います。僕たちもがんばっているのですが、他のYouTuberをかき集めて大きいイベントを開いて番組化することは、なかなか難しいのが現実です」(DJ社長)
これまでいろんな動画を作成してきたDJ社長だが、コンテンツは完全に「はやり廃り」だという。
「今はBreakingDownがバーッと来ていることもあり、格闘技もブームが到来していると思います。『格闘技として強いか』というコンテンツだと、当たり前ですがRIZINやK-1のほうが得意です。BreakingDownはエンタメとしてめちゃくちゃ面白いから、結局、どっちのほうが人気があるか、見る人が多いかでスポンサーの数が決まるでしょう」(DJ社長)
また、DJ社長は動画に対する視聴態度についても、次のように述べる。
「ショート動画の視聴者は、みんなTikTokに移行している。そして、YouTubeを見る層は、携帯ではなくだんだん家のテレビで見るようになっています。ご飯を食べながら、化粧をしながら、テレビというデバイスを使ってTV放送ではなくYouTubeを見ているわけです。そうなったとき、今までYouTubeで黄金尺といわれていた10分、18分の動画は、短すぎると思います」(DJ社長)
青汁王子が考えるBreakingDownがバズる理由
・オーディション動画に切り替えたことと“ギリギリを攻めている”のがポイント
青汁王子は「BreakingDownはオーディションをやる前は流行っていなかった。僕も視聴者として見ていて、正直あまり面白くないな、これはもう終わるだろうと思っていました」と述べる。
転機になったのは、AbemaTVで2021年1月20日に放送された「朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1,000万円」だ。出演者をオーディションで選ぶところから放送する企画が当たり、それを流用してオーディションを含めて動画を出すようになったら大ヒットにつながった。
「オーディション動画を含めたヒットの要因は、視聴者が『強さ』を求めているのではなくて『ストーリー』を求めていることにあると分析しています。普通の格闘技もそうですが、いくら強くても知らない人同士が戦ったら、感情移入はしにくいでしょう」(青汁王子)
BreakingDownは、オーディションを通じて、より視聴者が感情移入したキャラクターが本戦に出場するなど、運営側による調整によって強さ以外のストーリーを引き立てている。強さも重要だが、格闘技という競技自体によりストーリー性が求められているのではないかというのが、青汁王子の分析だ。
もう1つ青汁王子が指摘するのが「地上波だったらできないような、ギリギリを攻めている」ことだ。BreakingDownでは、オーディションでも会見でも激しい乱闘がある。これは、YouTubeだからこそできるギリギリの線に勝算があることを示していると青汁王子はいう。
「格闘技ファンは、より過激なものを求める傾向にあります。この間のオーディションで18歳以上という年齢制限がかかったように、ある一定の『このあたりが限界』というラインはありますが、そのギリギリを攻めているところが魅力なのだと思います」(青汁王子)
・「夢がある」物語性
ブレイキングドリームという言葉があるように、これまでまったく無名で、田舎で普通で暮らしていたような人がBreakingDownに出て、有名になって知名度を得たり、YouTuberとしてフォロワーや登録者を増やすという、まさに成り上がる物語ができている。
「すでにそうやって有名になっている選手が何人もいます。僕が出たのはたしか4回目ですけど、あのころは出たいという人は今ほどじゃなかったんですよ。やっぱり回を重ねるごとに出たい人が増えて、今、応募者は2000人超だと聞いています」(青汁王子)
「ブレイキングドリーム」を見たいという人が増えて、どんどん素質(強さだけではなくて、キャラクター性があるという意味の素質)のある選手を集めることができたのが成功の要因だというのが、青汁王子の分析だ。
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