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YouTubeの新しいチップ機能「スーパーサンクス」やYouTube ショートのクリエイターへの報酬プログラムなど、YouTubeではクリエイター支援の多様化が加速している。フェイスブック・インスタグラムやスナップチャットなどの競合が多額の資金を投じ、クリエイターを囲い込む施策の広がりが背景にあるからだ。激化するクリエイターエコノミー主導権をめぐる競争、その動向を追ってみたい。
フェイスブックとYouTubeのアクティブユーザーは50億人
2021年7月時点で、世界で最も利用されているSNSプラットフォームはどこかご存じだろうか?
Statistaのまとめによると、7月時点で最もアクティブユーザーが多いSNSはフェイスブックで、利用者数は28億5300万人。2位はYouTubeで、アクティブユーザー数は22億9100万人に上る。
これに、WhatsApp20億人、インスタグラム13億8600万人などが続く。
驚異的なのは、フェイスブックとYouTubeだけでアクティブユーザー数が50億人を超えるという事実。
もちろん、重複もあることが想定されるため、ユニークユーザー数は50億には至らないはずだが、それでも驚きの数字であることに変わりない。77億人ほどといわれる世界人口の3分の2を占める数値だ。
現在この2大SNSであるフェイスブックとYouTubeを筆頭に、クリエイターエコノミーをめぐる主導権競争が激化の様相を呈しており、SNSの世界は新たな局面を迎えようとしている。
YouTubeでのマネタイズ手段多様化
YouTubeが2021年に注力することの1つは
「クリエイターエコノミーの醸成」だ。これはYouTubeのスーザン・ウォジスキーCEOが今年初めに公開した書簡の中でYouTubeの優先事項として明言している。
クリエイターエコノミーの醸成とは、具体的に言うと、YouTubeクリエイターへの報酬の安定化・多様化施策を講じることである。これにより、YouTubeクリエイターと視聴者を同プラットフォームにつなぎとめることを意図している。
実際、ここ2~3カ月の間に、YouTubeでは新たな収益化手段が続々と投じられており、クリエイターエコノミー醸成に向けた取り組みは着実に進んでいるように思われる。
2021年5月頃に短編動画機能、YouTube ショートのクリエイターへの報酬支払計画が発表されたほか、7月にはチップ支払い機能「スーパーサンクス」の導入が明らかにされたばかりだ。
執筆時点でYouTubeショート動画には広告は付かず、クリエイターは収益を得ることはできない。しかしYouTubeは、クリエイターの確保とコンテンツの拡大を目指し、2022年中に計1億ドル(約110億円)をYouTubeショートのクリエイターに支払う計画という。
The Vergeが8月に報じたところでは、同月からすでに一部のYouTubeショートのクリエイターへの支払いが始まるという。YouTubeショートの報酬は、視聴回数のほか、視聴者の国などが考慮され、月額最大1万ドル(約110万円)が支払われる
とのことだ。
一方、スーパーサンクス機能は、ライブストリーミングのみで利用可能な「スーパーチャット」を補完するチップ支払い機能だ。スーパーサンクス機能の追加によって通常の動画に対してもチップ支払いができるようになる。チップ額は、2ドル、5ドル、10ドル、50ドルの4つから選択できる。
YouTubeクリエイターはこれまで、広告収入のほか、メンバーシップ、スーパースティッカー、スーパーチャットから収益を得ることが可能であったが、YouTube ショートでの収益化とスーパーサンクスによる収益化ができれば、収益源を多様化できることになる。
【次ページ】フェイスブックも1,000億円以上かけクリエイターエコノミーへ投資
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