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これまでソーシャルメディア市場では、インスタグラムは写真、YouTubeは比較的長めの動画などと、それぞれのプラットフォームにおけるコンテンツフォーマットはおおむね棲み分けられていた状況だった。しかしTikTokの登場により、各プラットフォームは、TikTokを意識した短編動画機能を追加し、その拡充に多大な投資を行っている。これに伴い、急成長していたTikTokの成長が鈍化するなど、短編動画をめぐる競争は激化の様相だ。以下では、インスタグラム、YouTube、TikTokの動向に加え、密かにプレゼンスを拡大するインドの国内プレーヤーの動きなど、短編動画をめぐる動きを探ってみたい。
批判を受けたインスタグラムの新機能
短編動画をめぐっては、2022年7月末、米国でインスタグラムの新機能をめぐって既存クリエイターらから多くの批判の声があがり、インスタグラムが新機能を撤回するといった騒動が起こったばかりだ。
批判の対象となった新機能の1つは、縦長写真・動画がフルスクリーンで表示されるというもの。TikTokの仕様を踏襲したもので主に動画の没入感を高めるのが目的だったようだが、既存のインスタグラムユーザーから多くのネガティブフィードバックがあったと
報じられている。
批判されたもう1つの新機能は、レコメンド機能だ。
インスタグラムの既存ユーザーは通常、自身がフォローするアカウントの投稿のみを視聴することが多いが、新機能ではフォローしていないアカウントの投稿がレコメンドされ、多くのユーザーから反感を買ったといわれている。
またインスタグラムの新機能に対する批判の声は、ツイッターなど他のプラットフォームでも拡散されており、これら一連の批判がインスタグラムによる新機能の撤回に影響を与えたものと思われる。
たとえば、オーストラリアメディアThe Ageのレポーター、メグ・ワトソン氏は
ツイッターで、インスタグラムの新機能を批判するツイートを発信。フォロワー7000人ほどのアカウントであるが、同ツイートは14万7000件のLike、1万3700回のリツートを得るなど、多くの共感を獲得している。
ワトソン氏は、レコメンド機能によるコンテンツの氾濫で友人の投稿が視聴できないこと、またTikTokのリポスト動画が大量にレコメンドされたこと、以前に比べ広告が非常に増えたことなどを批判点として挙げている。
このほかにも複数の米国著名人らが批判の声をあげたことで、インスタグラムは新機能を撤回することになったが、短編動画を重視する姿勢は変わっておらず、今後別の形で新たな動画機能が追加される公算は非常に大きい。
この姿勢は、メタが2022年1~3月期決算の投資家向け発表の中で発したメッセージに、明確に見て取ることができる。
同発表では、インスタグラムの短編動画機能「リール(Reel)」の視聴時間がインスタグラムの全滞在時間の20%を占めていることが
強調された。またReelは現時点で「ストーリー(Stories)」のようにマネタイズできているプロダクトではないものの、数年後にはマネタイズできるだろうと、短編動画に対する強気の発言がなされている。
【次ページ】YouTubeも短編動画機能拡充へ
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