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- 2020/10/29 掲載
コロナにまったく動じなかった岡山の製造会社に聞く、具体的に行った3つのコト
御津電子はなぜ「大きな影響を受けなかった」?
御津電子は、岡山県岡山市に本社を置く制御機器の開発・製造や金型製作、金属加工などを行う製造業だ。本社のほか、国内2カ所、中国に2カ所の工場をそれぞれ構えている。同社取締役の人見雄一さんは、新型コロナウイルスの影響について「大きな影響を受けなかった」と話す。「業績は、新型コロナウイルスの感染拡大前と拡大後で、大きく変わっていません。会社全体として見ても工場ごとに見ても、大きな変化は見られません。こと業績という観点では、コロナの影響をほとんど受けていないというのが現状です」(人見さん)
人見さんは、その理由について「常に新たな業界や顧客を開拓してきた成果では」と分析する。
「たとえば、制御機器と自動車の部品を作っている牛窓工場は、マスク製造機に欠かせない制御機器部品の注文が増加。さらに、新たに開拓した農業機具や建築関連のプラス分が、自動車部品のマイナス分を補っています。制御機器と建築部材、健康機器を作っている四国工場も同様で、制御機器や新たに開拓した医療部品のプラス分が健康機器部品のマイナス分を相殺しています」
筆者が取材した製造業のなかで、現在、深刻な状況に陥っている会社の多くは取引先が1社もしくは数社、あるいは業界に特化した会社だ。人見さんは「たとえば、弊社が自動車部品の製造だけをしているメーカーであれば、今頃は危機的な状況だったはずです」と話す。
1月中旬にはすでにコロナ対策を打っていた
御津電子が新型コロナウイルスの影響をほぼ受けなかったのは、多様な業界と取引してきただけにとどまらないと筆者は考える。その理由のひとつに、同社の情報収集能力と実行力の高さがある。
「10年ほど前、新型インフルエンザが世界的に流行しましたが、日本は大きな影響を受けませんでした。しかし今回の新型コロナウイルスにおいては、現地からの情報や各国のニュースを見て、日本にも大きな影響を与えるはずだと、1月中旬から準備していました」(人見さん)
1月中旬といえば、中国で新型コロナウイルスが確認されてはいるが、多くの日本人はどこかひとごとだったではないだろうか。
SEC新宿駅前クリニックが1月28日~29日に行った調査によると、「勤務先で新型肺炎(新型コロナウイルス)について何かアナウンスや対策などの通達はありましたか?」という設問に、「あった」と回答した人はわずか2割にとどまっている。1月下旬の調査でこうなのだから、御津電子が対策に乗り出した1月中旬に、新型コロナウイルスの対策を講じた企業が日本中にどれだけあっただろうか。
【次ページ】具体的に行った3つのこと
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