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- 2020/07/17 掲載
アフターコロナ時代は「異業種やライバルとコラボレーションすべき」と断言できるワケ
202X年 ぼくらの生き方・働き方 Vol.01 尾原和啓さん 前編
1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。マッキンゼー・アン ド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルー ト、ケイ・ラボラトリー(現:KLab、取締役)、コーポレートディレクション、サイバー ド、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、 投資、新規事業に従事。経済産業省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターア ドバイザーなどを歴任。著書に『モチベーション革命』、『アフターデジタル』(共著)、『ザ・プラットフォーム』、『どこでも誰とでも働ける―― 12の会社で学んだ“これから”の仕事と転職のルール 』『IT ビジネスの原理』『ネットビジネス進化論: 何が「成功」をもたらすのか』などがある。
20年くらいかけて起きる変化が2ヶ月で起きている
いまコロナによって急激な変化が起きています。通常なら10年から20年くらいかけて起きる変化が、この2カ月に凝縮された。本来は少しずつ価値観が変化していくものですが、その変化が急速に起きているわけです。
特に若い方々は「オンラインファースト」「リモートファースト」の時代に、すでに移行し始めています。コロナがなければ、若い方たちが社会の中心層になる10年後くらいに世の中が変わるはずでした。しかしコロナによって「オンラインファースト」ではなかった人も、時代の変化に着いて行かざるを得なくなった。そういう2カ月だったと思います。
共著で出させていただた『アフターデジタル』の中で「オンラインがメイン。今後は全てのオフラインをオンラインが包み、オフラインが消失する」といった話をしています。「さすがにそれは言い過ぎなのでは?」と思った方もいるかもしれませんが、この数カ月でまさか全員が強制的にオフラインの消失を体験することになろうとはです。
つまり、「オンラインを前提にして」オフラインの体験を考えていかなくてはいけないのがこれからなのです。
本を執筆した時には、まさかオフラインへのアクセス自体ができなくなるとは思っていませんでしたが、結果的には「すべてをオンラインファーストで考えて再構築する」という『アフターデジタル』で書いていたことが、本当に10年早く来てしまったのだと思います。
生き方の再構築をせよ
ビル・ゲイツ氏は4年前にTEDのスピーチで、今回のようなことが起こりうると予言していました。つながりすぎてしまった世界では、今回のようなウイルスも広まりやすくなってしまっているのです。ただ今回は「リアルの」ウイルスだったから、ネットが使えていますが、もしかしたら将来はバーチャルのウイルス、いわゆるコンピューターウイルスが広まるかもしれません。みんながつながっている世界では、リアル、バーチャルを問わずウイルスにも乗っ取られやすくなっているのです。オフラインでもオンラインでも、あらゆるつながりが分断されうる。そのようなリスクの中で、ぼくたちはどのように生きていくべきなのでしょうか?
大切なことは「今後こういうことが何度も起きうる」ということです。それでもぼくたちはしなやかに生きていかなければならない。そのために「生き方の再構築」をする必要があります。
ここから徐々に平穏な日常を取り戻していく中で、つい「やっぱり昔のやり方がよかったよね」と、元の生き方に戻っていく人もたくさんいると思います。喉元過ぎれば熱さを忘れるといいますが「オールドノーマル」の重力に負けて、元に戻ってしまう人も増えるはずです。そういった方々を、いかに留めておけるか。
もちろん、リアルが戻ってこないことによる経済的ダメージは大きいので、早く戻ってほしいとは思います。一方で「リモートファーストで生きる」というニューノーマルによって、加速する人や組織も存在するのです。
いま経験しているような新しい生き方は「10年後の当たり前」です。それをいま定着させることで、これからの世界で生きやすくなる。つながりすぎた、ウイルスによって分断されやすくなった社会の中で、いかにしなやかに生きられるようになるか。それが大事なテーマだと思います。
【次ページ】「ゆるくて遠いつながり」をつくろう
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