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- 2019/10/11 掲載
日産に学ぶ「コーポレート・ガバナンス」、あなたは西川社長辞任を“当然”と思えた?
「株式会社」を選択する以上、支配者は「株主」
近年、企業の経営が複雑化していることから、コーポレート・ガバナンスに関してさまざまな議論が出ており、これが話を混乱させているが、ガバナンスの本質は「統治」と「統制」である。つまり、議論の核心となるのは「誰が会社の支配者なのか」という部分である。日産は株式会社なので、この答えは明白であり、日産の支配者は「株主」である。日本では、こうした初歩的な部分について大きな誤解があるため、ガバナンスに関して奇妙な議論ばかりが行われている。
株式会社というのは、資金を出した株主が会社の所有者となり、株主に雇われた経営者が会社の運営を行うことを前提に作られた制度である。したがって会社法にも明確に規定されているように、株式会社の支配者は株主であって、経営者や従業員ではない。
ここで「会社はステークホルダー(利害関係者)全員のものだ」という話を持ち出してはならない。なぜなら、株式会社というのは、株主が会社を所有するために、わざわざ作り出した制度であり、株式会社を選択したということは、あえて株主を所有者にすることで、経営と所有を分離したいという会社側の強い意思の表れとみなされるからだ。
会社には株式会社以外にも多くの形態があり、米国ではむしろ株式会社の方が少ない。複数のパートナーで会社を所有するLP(リミテッド・パートナーシップ)など、所有と経営を分離しない会社形態はいくらでもあるので、第三者である株主に支配されたくなければ、別の形態を選択するのが普通である。あえて株式会社を選択している以上、株主に支配されたくないという理屈は通用しない。
日産は株式を自らの意思で上場している
つまりステークホルダーのことを考えるべきだという近年の議論は、あくまで株主が所有者であることを大前提に、もう少しだけ周囲のことも配慮すべきだという意味であって、株主以外が会社の経営を左右して良いという話とは根本的に異なるので注意が必要だ。さらにいうと日産は株式会社であると同時に、株式を上場している。株式を上場しているということは、小売店の店頭に株式という商品を並べているようなものであり、「いつでも誰でも株を買ってください」と全世界に宣言しているのと同じことになる。
店頭で商品を不特定多数に販売している以上、人種や国籍で顧客を選別したり、顧客が商品を買ってから「お前のことが嫌いなので商品を返還しろ」と言うことはできない。株主を選別したいのであれば、上場をやめれば良いだけであり、株式会社の選択と同様、自らの意思で上場しているということは「誰でもウチの会社の支配者になっていいですよ」と宣言していることと同じになる。
これは株式会社の基本中の基本となるルールであり、ガバナンスに関する議論はすべてここからスタートする。この部分を取り違えてしまうと、すべてに関して間違った解釈をしてしまうので、注意が必要である。
【次ページ】CEOと取締役の違いは? 日本にはその区別がついていない会社も多い
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