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- 2019/07/09 掲載
“医療用ソフトウェア”審査が世界的に短期化、先進国と途上国、狙うべき市場はどっち
医療用のソフトウェアは医療機器の一種として扱われている
言い換えれば、医療ITにおいてのハードウェアとソフトウェアは、「医療機器(=ハードウェア)」という言葉で一つにくくられているのだ。なぜこんなことになっているのか。
医療機器自体は古くから存在していたため、その分類カテゴリがあったが、ソフトウェアの方は古くは医療機器のファームウェアに代表される原始的なものしかなかった。そのため、ソフトウェアを別括りにするようなカテゴリと仕組みが存在しなかったのだ。
一方で、医療用ソフトウェアが医療現場で果たす役割も機能も、今となっては従来とは段違いに大きくなった。そこで、医療用のソフトウェアをハードウェアとは別にカテゴライズし、評価できるような新しい仕組みが求められている。
国際的な医療用ソフトウェア評価の仕組み
国際医療機器規制当局フォーラム(IMDRF)は医療機器規制の国際整合化について将来の方向性を議論するフォーラムとして2011年2月に日本、米国、EU、中国、オーストラリア、シンガポール、カナダおよびブラジルを中心とする世界各国の医療機器規制当局により立案されたもので、国際的な医療機器規制の整合と収束を促進するものである。2015年8月にIMDRFからSaMD(Software as a Medical Device)の提案が発表されたことを契機に、各国で医療機器としてのソフトウェアの安全性、有効性、性能を評価するための臨床評価プロセスを確立するためのガイドラインが急速に整備されるようになっている。
米国FDA(アメリカ食品医薬品局 )ではこれを受けて2016年10月に、いち早くSaMDガイドラインのドラフトを発表し、2019年4月にはこれを人工知能と機械学習に適用した場合についてのディスカッションペーパーも発表している。
米国FDAはこれまでにも、治験の実施ではGCP(Good Clinical Practice)、製造の品質管理ではGMP(Good Manufacturing Practice)という形で準拠すべき基準を明確にしてきたが、人工知能と機械学習の品質管理についてはGMLP(Good Machine Learning Practice)という新たな基準を打ち出している。
これまで評価方法がなかった、もしくは曖昧であったため、医療用のソフトウェアに対しても、高度に複雑化してしまったハードウェアの評価と同様の長い期間をかけて審査を行っていたものが、より迅速に行えるように工夫を行っているのがハードとソフトを明確に分けて管理するSaMDの一番の意義であるといえる。
その他の国のSaMD関連動向を見ると、以下のようになっている。
- 中国でも米国と同様に、2019年2月にSaMDに関するGMP、2019年3月にはディープラーニングに関するガイドラインのドラフトを発表している。
- カナダでは2019年1月にSaMDガイドラインのドラフトが発表されている。
- オーストラリアでは2019年2月にSaMDコンサルテーション文書が発表されている。
- SaMDは元々EUのMDR(Medical Device Regulation)を基礎にしたものである。
【次ページ】アジアにおける医療用ソフトウェアの関連規制について
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