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- 2019/05/23 掲載
GAFAでも独特なアップルのセキュリティ戦略、サブスク参入で変わってしまうのか
プラットフォームビジネスが抱える本質的なリスク
グーグルは、Google Mapsなど一部のサービスにおけるユーザー情報の利用について、フランスのデータ保護機関からGDPRに違反していたとして62億円の制裁金を課す判決を受けた。
アマゾンは、ユーザーとAlexaの会話内容を従業員が聞ける状態にあったとBloombergに指摘された。会話内容は、機能改善など業務上限られたもので誰もが自由に盗聴していたわけではないとされるが、不必要な会話内容の共有が行われていた問題も指摘されている。
どの事例もそれぞれの立場で言い分はあるだろうが、多くの巨大プラットフォーマーは、広告や各種サービス連携のため個人情報やプライバシー情報に依存する部分が多く、当然その責任とリスクが避けられない。
プラットフォーム化したハードウェアの強み
しかし、GAFAという略称で前述の企業と並び称されるはずのアップルは、相次ぐ他社のスキャンダルやインシデントを尻目に、他社とは一味違ったセキュリティポリシーを貫いている。連邦捜査局(FBI)からの情報開示要請(正確には容疑者のiPhoneのロック解除依頼)を拒否したり、「プライバシーは基本的人権のひとつとして、欧州連合(EU)居住者以外でも保護する」、「我々は、顧客情報を製品と考えて利益を得ようとは考えていない」などと、声だかにプライバシー遵守を叫んでいる。
これは、アップルは、GAFAの中では唯一ハードウェアをベースとしたプラットフォームを持っているからに他ならない。グーグルやフェイスブックのように広告ビジネス、つまり、ユーザーの属性情報や行動履歴など、個人情報やプライバシー情報でマネタイズする必要がない。これがアップルの強みである。
それだけではない。iPhoneやMacといったデバイスに紐づいた、App Storeというゲームや音楽などを流通させるエコシステムの成功が、単なる製造業ビジネスと一線を画している。
【次ページ】製品販売モデルの「限界」で、サブスクへ参入。浮かび上がるひとつの懸念とは
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