- 会員限定
- 2019/05/27 掲載
Apple Arcade と Google Stadiaを比較、ゲーム市場で勝つのはどちらか?
「令和元年秋の陣」でゲーム業界勢力図は一新?
2019年3月、米アップルは定額課金制のゲーム・サービス「Apple Arcade」を発表した。サービス開始は2019年秋を予定しており、100以上の高品質なゲームタイトルをiOS機器上で楽しめる。また、同時期に米グーグルも新たなゲーム・サービス「Google Stadia」の情報を公開した。
両社とも詳細なサービス開始時期や価格体系は明らかにしておらず、同じようなサービスを提供するように見える。しかし、そのビジネスモデルを分析すると、その戦略や採用した技術は大きく異なる。
アップルが開発したApple Arcadeは、App Storeからダウンロードするサービスで、iPhone、iPad、Macといった同社が販売する機器で動作するのが特徴だ。
一方、グーグルが公開するGoogle Stadiaはブラウザ上で動作するゲームで、使用機器を選ばない。クラウドゲーミングと呼ばれる技術を使用しており、いわばゲーム本体がサーバ側で動作する仕組みだ。従来からあるゲーム機器の「PlayStation」や「Nintendo Switch」は不要になり、高速インターネット接続さえあれば、いつでもどこでもゲームが楽しめるようになる。
囲い込むアップルvsコミュニティのグーグル
つまりアップルは、ハードウェアの購入からサービスの利用まで、一人の顧客が売り上げに貢献する「顧客生涯価値」を最大化し、アップルの利益率向上へ寄与することを狙っている。また、Apple Arcadeとともに、同社が発行するクレジットカード「Apple Card」の導入も明らかになった。決済を含めたあらゆる接点が、アップルのエコシステムに組み込まれるのだ
こうした動きとは真逆なのがグーグルである。iOS機器の販売に大きな比重を置くアップルと異なり、グーグルはハードウェアの販売を必須としていない。むしろ、これまで数万円の支払いが求められたゲーム・コンソールを不要なものにしてしまうものであり、ゲーム業界に破壊的な影響を与える可能性がある。
Apple Arcadeは、App Storeからダウンロードする仕組みを残しているため、そのサブスクリプション型サービスは既存の延長線上にある。しかし、Google Stadiaは、クラウド上で処理を行うため、どんな機器でも高性能なゲームが楽しめるようになる。技術的に難易度が高く、まったく新しいビジネスモデルの構築を目指している。
Google Stadiaの興味深い点はYouTubeとの連携だ。ゲームをスポーツのように楽しむeSportsの普及とともに、「ゲームを観る」という文化が生まれつつある。Google Stadiaで操作したゲーム画面をYouTubeに配信すれば、人気のゲーム・プレイヤーと、そのファンを結びつけることが容易になる。グーグルのゲーム戦略は、そのコミュニティ作りに期待がかかっているのだ。
【次ページ】GCP、AWS、Azureが見せる底力
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR