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  • 2018/10/25 掲載

コマツ 大橋徹二社長が描く「未来の建設現場」、IoTで何が変わったのか

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いわゆる「3K」職場と呼ばれる建設現場を、コマツの建機ユーザー向けサービス「スマートコンストラクション」が大きく変えつつある。導入現場は累計で6000を突破。さらなる効率化や安全の向上に向け、コマツはサービス開発の手綱を緩めない。のみならず。自動車で注目を集める自動運転の建設機械への応用も推し進める。IoTを追い風に建機メーカーのコマツはどこに向かおうとしているのか。「CEATEC 2018」のキーノートセッションに登壇したコマツ 代表取締役社長兼CEOの大橋徹二氏が、スマートコンストラクションのこれまでを振り返るとともに、建機の自動稼働も織り込んだ同社の目指す建築の未来を明らかにする。
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コマツ 代表取締役社長兼CEO 大橋徹二氏

建機メーカーが現場支援サービスを手掛ける理由

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 現場に関わるすべてをICTでつなぎ、安全で生産性の高いスマートな現場を創造する――。この目標の下、建設機械大手のコマツが2015年から開始したサービスが「スマートコンストラクション」だ。通信ネットワークはもちろん、ドローンやAR(拡張現実)/MR(複合現実)、AIなど、同社は先端技術を貪欲にサービスに取り込む。サービスを利用する現場は、最先端ICTのショールームさながらだ。導入現場は累計で6000を超えた。

 「建設」という共通項はあるものの、スマートコンストラクションはモノづくり企業である同社にとって畑違いの領域である。必要とされるスキルも大きく異なり、成功も確約されてはいなかった。にもかかわらず、なぜ同社はこの事業に乗り出したのか。決断の舞台裏を、コマツで代表取締役社長兼CEOを務める大橋徹二氏は、「そもそもの出発点は、顧客との信頼を強め、より認められる存在になりたいとの強い思いとがありました」と打ち明ける。そして、そこには同時に危機感もあったはずである。

 建設機械の特徴の1つがライフサイクルの長さだ。たとえばブルドーザーでは自動車の5倍、大型ダンプでは30倍にもなる。必然的にユーザーのTCO(保有総コスト)も新車代金比でそれぞれ2倍と3倍にもなり、その多くがメンテナンス代などとして建機メーカーの収益となる。従って、収益拡大のためには建機の新規販売だけでなく、顧客つなぎとめのサービス強化もカギとなる。

 その視点で建築現場を眺めた時、顧客の共通課題と認識されたのが「現場の人手不足です」(大橋氏)。しかし、それは長期的にはコマツ自身の課題でもあった。近い将来、人手不足がより深刻になることは容易に推察された。人が不足すれば建機はあっても稼働できない。結果、顧客の収益が減り、建機の新規販売もおぼつかなくなる。

モノからコトへサポートをシフトさせた成果

 この問題は製品サポートの強化だけでは解消できない。そうした中でコマツが考え付いたアイデアが、「サポート対象をモノ(建機)だけでなくコト(オペレーション)にまで広げること」(大橋氏)であった。

 オペレーションの最適化で人手不足を解消できれば、顧客との関係を強化でき、負の歯車を止めることが可能だ。のみならず、サポートによる新たな収益機会の獲得も見込むことができる。

 以来、コマツはスマートコンストラクションへ大きく舵を切り、サービスを矢継ぎ早に拡充してきた。たとえば、測量にドローンを応用し、画像処理技術や位置情報も活用することで、木や建物を外した3D地図データの作成期間を早ければ1日まで短縮した仕組みもその1つ。ICT建機を現場の目とすることで、施工太陽以外の場所も3D測量も行い作業の安全性も高めた。そこでの基本コンセプトは建築プロセスにおける、あらゆる「モノ」と「コト」の可視化だ。

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生産プロセスに関わるあらゆる「モノ」や「コト」がプラットフォームで有機的につながり「見える化」される。

「施工図面の3D化から施工範囲の計算、作業工程別の工程表作成までが自動化されたことで、施工までの期間が大幅に短期化されました。また、建機の制御支援によって、あらゆる作業員の施工精度も確実に高められています。設計変更が生じた場合には、サポートセンターが対応し、その情報を共有することで、工程管理も柔軟に見直せるようになりました。こうしたプロセス変革の原動力こそプラットフォームにあらゆるモノがつながることにほかならないのです」(大橋氏)

【次ページ】増え続ける課題に社外の知恵で対応
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