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  • 2018/09/19 掲載

ふるさと納税制度の見直し、何がどう変わるのか?

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寄付獲得競争が過熱し、総務省通知に従わない地方自治体が問題になっているふるさと納税で、総務省は抜本的な制度の見直しに入った。寄付金に対する返礼品調達額の割合が3割を超すケースや、地場産品でない返礼品を扱う場合は、税優遇の対象から外す方向。制度スタートから10年が過ぎたふるさと納税は地方振興に一定の成果を上げる一方で、なりふり構わぬ寄付金獲得競争が本来の趣旨を逸脱していると批判されてきた。近畿大短期大学部の鈴木善充准教授(財政学)は「総務省通知の3割規制は概ね妥当なライン。通知に従わない自治体が出ないよう制度変更すべきだ」とみている。
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都城市から送られてきたふるさと納税の返礼品。総務省は過熱する寄付獲得競争を是正するため、抜本的な見直しに着手する
(写真:筆者撮影)

総務省は通知に従わない自治体を対象外とする法改正を検討

 「ふるさと納税は存亡の危機に直面している。要請だけでは自発的な見直しが期待できない以上、制度の見直しでふるさと納税本来の趣旨を取り戻さなければならない」。野田聖子総務相は閣議後の記者会見で一部自治体の突出した対応を批判し、制度を抜本的に見直す考えを明らかにした。

 ふるさと納税は2008年度のスタートから10年が経過した。年間の寄付金受入額は当初、全国で100億円に満たなかったが、2017年度は3,653億円に拡大している。

 総務省によると、単一自治体が1年間に集めた額は、全国トップの大阪府泉佐野市が135億3,300万円、2位の宮崎県都農町が79億1,500万円、3位の宮崎県都城市が74億7,400万円。小規模自治体の年間予算に匹敵する額だ。都農町だと2018年度一般会計当初予算の税収見込みが9億円余りだけに、寄付受入額は税収の9倍近い。

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2017年度の寄付受入額が全国1位になった大阪府泉佐野市役所。総務省の通知に反するとして公表された
(写真:筆者撮影)

 ふるさと納税の趣旨は故郷や応援したい地域に寄付するのが目的だが、多額の寄付を集めれば自治体の貴重な収入源になる。多くの自治体が高級肉や海産物のほか、金券、宝飾品、家電製品など豪華な返礼品を用意し、さながらECショップのような様相を示していた。

 返礼割合が3割を超す自治体が2016年度で全体の65%に当たる1,156に上ったため、総務省は2017年4月と2018年4月、総務大臣名の通知で寄付金に占める返礼割合を3割以下に抑え、資産性の高い商品や地場産品以外を扱わないよう要請した。

しかし、通知に従わない自治体もあり、9月1日現在で全体の14%に当たる246自治体が3割を超す。地場産品以外の返礼品を送っている自治体も少なくとも190に上っている。

 総務省は通知に従わない自治体をふるさと納税の対象外とする方針。与党の税制調査会で議論したうえで、2019年の通常国会に地方税法改正案を提出、早ければ2019年4月からの施行を目指している。対象外とされた自治体への寄付は税控除が受けられなくなる。

 さらに、一部のふるさと納税ポータルサイトが自治体から原資を得てポイント還元キャンペーンなどを実施していることを問題視し、ポイント規制についても多角的に検討する考えだ。

通知の基準に疑問の声を上げる自治体も

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 これに対し、問題を指摘された自治体側は法改正に従うとしながらも、戸惑いと混乱を隠せない。都城市は総務省から3割を超す返礼品を送っていると指摘された自治体の1つで、特産の宮崎牛と焼酎が人気を呼び、2015、2016年度の寄付受入額で全国トップに立っていた。

 2017年4月の通知を受け、返礼割合を従来の5~6割から3割に落としたところ、見直し直後の2017年6月の申込額が前年同期の3分の1に減った。このため、原価に調達先事業者の利益を上乗せした調達額の3割から、原価だけの3割に計算方法を見直し、より充実した返礼品を送れるようにして2017年度もほぼ前年並みの寄付受入額を確保している。

 都城市ふるさと産業推進局は「総務省通知を守ったうえでの工夫と考え、その旨を説明してきた。法改正には従うが、通知の基準が不明確な感じがする」と渋い口調で語った。

 総務省は野田総務相の会見に先立ち、2017年度の寄付受入額が10億円以上で、返礼割合が3割を超すとともに、地場産品以外の返礼品を送っている自治体のうち、8月までに見直しの考えを示さなかった泉佐野市など12自治体名を公表した。通知に従わないことへの懲罰的対応と受け止められている。

【次ページ】返礼割合の見直し時期を示していない主な自治体
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