• 2018/02/15 掲載

7割が実施する「ビジネスのデジタル化」、何に取り組んでいるのか?

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「ビジネスのデジタル化」に取り組む企業が急速に拡大していることが分かった。一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の調査によれば、売上高1兆円以上の企業では「実施している」が、16年度の調査から23.7ポイント伸び、71.7%に達した。「検討中」も26.1%に上る一方、「検討していない」は2.2%にとどまり、ほぼすべての企業が何らかの形でデジタル化を進めている実態が明らかになった。
 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2月8日、企業のIT投資・IT戦略などの動向を調べる「企業IT動向調査2018」の速報値を発表した。調査の対象は、東証一部上場企業およびそれに準ずる企業となる。

 本調査では、「ビジネスのデジタル化」を「ITの進化により、さまざまなヒト・モノ・コトの情報がつながることで、競争優位性の高い新たなサービスやビジネスモデルを実現すること、プロセスの高度化を実現すること」と定義している。

大企業でデジタル化が急速に進展、7割が実施

 ビジネスのデジタル化に取り組む企業が、国内で着実に増えていることが分かった。図1は、ビジネスのデジタル化の検討状況を売上高別に示したもの。全体でみると「実施している」が20.9%で、16年度から8.4ポイント増加した。「検討中」(31.3%)と合わせると、半数以上が実施または検討中であることが分かった。

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図1 売上高別 ビジネスのデジタル化の検討状況

 デジタル化が特に急速に進んでいるのが大企業。売上高1兆円以上の企業では「実施している」が、16年度の調査から23.7ポイント伸び、71.7%に達した。「検討中」も26.1%に上る。「検討していない」は2.2%にとどまり、ほぼすべての企業が何らかの形でデジタル化を進めている。

 業種を問わず、大企業にとってデジタル化への取り組みは待ったなしの状況になっていることが窺えるという。

金融、社会インフラ、機械器具製造でデジタル化が進む

 デジタル化の検討状況を、業種グループ別に示した結果が図2。取り組みが最も進んでいるのは「金融」グループで、「実施している」企業が35.1%に達した。

 16年度調査でも「金融」グループは他の業種グループを引き離していたが、今回はさらに取り組みが進んだという。16年度調査と比べると「実施している」企業が17.2ポイント増加し、「検討中」が14.9ポイント減少した。検討から実施段階へと、デジタル化のステージが着実に進行していることを示している。

 また、「社会インフラ」と「機械器具製造」でも取り組みは盛んであることが分かった。いずれのグループも、6割超の企業がデジタル化を「実施している」または「検討中」となった。

 「実施している」と回答した企業の割合が16年度調査から大幅に増えていることも注目という。「社会インフラ」では13.3ポイント、「機械器具製造」では12.0ポイント増加。「機械器具製造」では「実施している(成果あり)」が16年度調査の3.4%から9.9%へと大幅に増えており、取り組みが実を結びつつあることが分かった。

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図 2 業種グループ別 ビジネスのデジタル化の検討状況

製造業は「生産管理の高度化」、非製造業は「新ビジネス」に取り組む

 具体的に、どのような取り組みをしているのか。ビジネスのデジタル化を「実施している」または「検討中」と回答した企業のうち、本調査では「代表的な取組みテーマ」について442社から回答を得た。

 製造業や「建築・土木」の分野でデジタル化の中心になっているのは「生産管理の高度化」。これを代表的な取り組みテーマとして選んだ企業は「素材製造」で54.5%、「機械器具製造」で41.0%、「建築・土木」で37.0%に上った(図3)。

 IoTを導入して生産設備の稼働状況を可視化したり、工事現場の施工状況を把握したりすることで、生産性を向上させるといった取り組みが進んでいると推測できるという。

 一方、非製造業が注力しているのは「新ビジネス・サービス・商品化」。「金融」では46.9%、「社会インフラ」では42.5%など、半数近くの企業が代表的な取り組みテーマに挙げている。

 ビッグデータやAI(人工知能)などの活用によって、新たなビジネスモデルを創出する動きが盛んになっているという。

 「Fintechへの対応」は「金融」(34.4%)のほか、「サービス」(4.6%)でも取り組みが始まっている。「顧客行動分析・CRMの高度化」に関心が高いのが「商社・流通」で、これを代表的な取り組みテーマに選ぶ企業が42.9%を占めた。

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図 3 業種グループ別 デジタル化の代表的な取り組みテーマ

 調査期間は2017年9月25日から10月17日。調査対象は、東証一部上場企業とそれに準じる企業の4000社で、各社のIT部門長に調査票を郵送して回答を得た。調査の有効回答社数は1078社。今回の発表は速報値で、最終集計・分析結果は2018年4月に発表予定。
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