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- 2023/10/02 掲載
バックスキャッタ通信とは?ワイヤレス電力伝送とは?Wi-Fi HaLowなど、IoTの「最新技術」5選
現行の無線技術はIoTの推進で“力不足”も
だが、各種の先行事例から、現行技術の“限界”も明らかとなっている。「現在、用いられているのは主にWi-FiやLPWA(Low Power Wide Area)、4G LTEです」と説明するのは、日本や米国の大手通信事業者で15年以上にわたりグローバルビジネスに携わり、無線通信技術に精通するPwCコンサルティング ディレクターの小林峰司氏だ。
挙げられる課題として、まず、Wi-Fiは広く普及している弊害として電波干渉が多く、4G LTEは音声通話網とネットワークを共用するため、通信が安定性に欠ける点やコストだ。また、LPWAは省電力かつ最大数kmの通信が可能な一方で、通信速度の遅さが用途開拓における“縛り”となる。
「データを単にかき集めるだけなら現行技術でも可能です。ただ、より高度なサービスを目指すとなれば、技術的な要件面で力不足と言わざるを得ません」(小林氏)
とはいえ、これらの技術課題を踏まえたIoT向けの次世代無線通信技術の開発は、産官学で以前から進められ、すでに実用化に至っているものも存在するという。その中で5つの技術に注目したい。
IoT向け次世代無線技術とは?
(1)空間伝送型ワイヤレス電力伝送1つ目が空間伝送型ワイヤレス電力伝送だ。空間伝送型ワイヤレス電力伝送とは、電波を利用して数十メートルもの長距離給電を可能とする技術。直流電流で増幅した電波をアンテナで受信し、整流回路で直流電力に変換して電力を取り出す。マイクロ波やミリ波などを用いる。
メリットは、従来の非放射型の方式では電力の伝送距離が1メートル未満であるのに対し、数十メートルもの伝送が可能になる点だ。
一方で、生体の安全性を考慮する必要があり、人体などの障害物を検知し、回避したルートで送電する必要がある。
2022年には電波法に関する総務省令にて、一定の要件を満たす屋内での利用について、920MHz帯、2.4GHz帯、5.7GHz帯の構内無線局の制度整備が行われ、マイクロ波を利用した空間伝送型ワイヤレス電力伝送が国内で利用可能となった。また、2023年にはIEEE Standardにて国際標準化に向けた議論が開始されるなど、まさにこれからという技術と言える。
具体的な利用イメージとしては、インフラ点検での省人化、スマートファクトリーでの断線時ダウンタイム削減、スマートビルディングでのメンテナンスコスト削減、ドローンでのバッテリー削減・軽量化など幅広い。
なお、ワイヤレス電力伝送方式は複数の伝送方式があり、スマホなどのワイヤレス給電は、コイルに電流を流して生じる磁界の力を電力に変換する別技術となる。
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