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- 2017/09/28 掲載
パナソニック製 介護ロボ「リショーネPlus」 開発者が明かすヒットの秘密
ベッドの一部が分離し、車いすに変形
特徴は、普段はベッドとして使うが、分離して車いすとしても使えるようになっていること。2014年6月に発売した離床アシストベッド「リショーネ」を元に開発された。ユーザーの声を反映し、利便性や安全性、デザイン性を高め、これまでの納入実績は200台を超えた。
リショーネとリショーネPlusの最大の違いは、車いすの配置にある。右側しか選べなかったリショーネと違い、リショーネPlusは左右どちらかを選択可能。設置場所の状況や利用者の事情に応じて選択できるようになっており、使いやすさを格段に高めた。
左右どちらにも車いすを配置できるようになったのは、組立式にしたためである。河上氏は、「分割されたモジュールになっており、設置する際に要望を聞いて組み立てられるようにしています」と話す。
アームレストに大きなカバーを付けて体幹保持性を高めたことや、電動リクライニングの動作タイミングを改善してリクライニング時のズレや圧迫を低減したことも、リショーネからの進化点だ。
また、販売価格も大幅に下げた。リショーネが実売130万円(税別)ほどだったのに対し、リショーネPlusは定価90万円(税別)。介護保険でレンタルすることもでき、レンタル料は月額3,980円(1割負担の場合)となっている。ただし、このレンタル料は同社グループで介護関連事業を行うパナソニック エイジフリー経由でレンタルした場合であり、レンタル料はレンタル事業所により異なる。
販売価格を大幅に下げられたのは、コストダウンを徹底した結果だ。特に注力したのが部材の共有化である。たとえば、ベッドに使っているボード類や電装系部材は、パナソニック エイジフリーが販売している介護ベッドと同じものが使われている。
「リショーネの時より設計がこなれてきたこともあり、設計の合理化と部材の合理化を進めたことで大幅にコストダウンすることができました」と河上氏は話す。
2つのリモコンで「車いすへの変形」「ベッドとの合体」が可能
車いすの分離・変形は、音声ガイドに従えば簡単にできる。ベッド用リモコンの[分離]ボタンを押して分離した後、車いすのブレーキを掛け、車いすの手元リモコンを介護者が操作することで車いすに変形。車いすからベッドに戻すときは、いったん車いすをフルフラットにしてからベッドに押し込む。きちんと押し込めたら、その旨が音声で通知され、ベッド用リモコンの[合体]ボタンを押せば、ベッドへの合体が終了する。
ベッド用リモコンは車いすへの分離・合体時のみではなく、ベッド時にも有効だ。寝ている時にベッドの高さを調整するほか、背上げや足上げ操作にも使える。
また、リショーネPlusはリショーネと違い、車いすの電動リクライニングの動作を改善しているが、体験してみると、腿が上がる角度に特徴があることが実感できる。まず、腿が背中より先にグッと上がり、その後背中が上がっていくと、お腹の圧迫をなくすために腿の角度が緩やかになる、といった具合だ。
腿が最初にグッと起き上がるようにしたのは、「先に背中から上げていくと、ズレが生じて体が落ちてしまうため」と河上氏。体の摩擦や不快感をなくすために、動作を工夫した。背中と腿で異なる動きをするので、電動リクライニングの動作は2つのモーターを使って行っているかと思いきや、モーターは1つしか使っていないという。
【次ページ】双腕トランスファから始まった移乗アシストロボットの開発
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