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  • 2016/09/30 掲載

GE、Google、Amazon注目の3Dプリンター市場を牽引する3業界と日本への打撃を大胆予測

フロスト&サリバン連載 「TechVision:世界を変革するトップ50テクノロジー」

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今月初め、GEがヨーロッパの3Dプリンター製造企業2社を買収した。Googleは昨年、3Dプリンティングベンチャー企業Carbon3Dに1億ドルの出資を行った。また、Amazonは3Dプリンティングビジネスに本格参入しようとしている。いま世界が注目する3Dプリンター技術は、市場の成長も活用の広がりも目覚ましい。3Dプリンター市場の今後の動きと、日本企業への影響はどうなるのか。フロスト&サリバンジャパン副社長兼コンサルティング部長の長竹 宏氏が解説する。
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3Dプリンター市場はどれほど伸びるのか

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3Dプリンター市場の歴史

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 3Dプリンターに代表されるAdditive Manufacturing(付加製造)の技術そのものは決して目新しいものではない。1980年代に最初の光造形技術が開発され、1987年に米国3D Systems社が光造形装置を初めて商用化して以降、その技術的な枠組み自体は現在に至るまで大きく変わっていない。

 3Dプリンターが世の中で大きな関心をもたれたきっかけは2つある。1つは2012年に米国でベストセラーとなったChris Anderson著『Makers』の中で、3Dプリンターが「第2次産業革命」における起爆剤として紹介されたこと。もう1つは、2013年 2月にオバマ大統領が「一般教書演説」で「3D プリンターに代表される技術によって製造分野でのイノベーションを起こす」と言及し、補助金を予算化したことだ。

 また、1980年代以降に相次いで登録された特許が2012-2013年付近に失効し、その結果として複数の学術機関や起業家たちが相次いで大きなアクションを取った。

 しかし、冷静に振り返ってみれば、3Dプリンターの弱点といわれてきた生産物の品質(主に耐久性)、生産スピード、エネルギー/原材料の消費やコスト高の問題は、時間の経過と共に一定の改善はあったとはいえ、2012-2013年頃に爆発的に改善したわけではなかった。実際にフロスト&サリバンの調査結果でも、2012-2013年における3Dプリンター市場の成長率は37.8%という記録的な数字を残しているが、その後2年間の成長率は10%未満と、一時的なブームの要素が強かった。

2025年に215億米ドルを超える3Dプリンター市場規模

 前述のような過大な期待を受けたため、改めてその課題が再認され、日本市場における3Dプリンターへの注目度は一段落してしまった感がある。しかし、海外主要各国では、その後も堅調に注目を集め続け、市場予測の見通しも非常に明るい。

 また、これまでは3Dプリンターの用途はプロトタイプ(試作品)製作が主流であったが、現在では複雑形状品(ドアヒンジ等)やカスタム形状品(医療用のインプラント等)、少量生産部品(特に交換用部品)などに用途が拡大し、積極的に採用されるようになっている。

 フロスト&サリバンの推定では、3Dプリンターの世界市場規模は、2015年の53.1億米ドルから、2025年までに215億米ドルまで成長する見通しである。ここでいう市場規模とは、あくまでも3Dプリンター機器自体とそれに直接紐づくソフトウェアや材料などを意味しており、3Dプリンターが生み出す生産物による二次的・三次的経済波及効果は含まないため、注意していただきたい。

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3Dプリンターの市場規模と市場予測(全世界需要)
(出典:フロスト&サリバン)


市場を牽引する3業界

 前述したように技術的な発展を遂げた3Dプリンターの特性を活かし、自動車、航空、ヘルスケアのような高付加価値商品のプロトタイプ(試作品)や最終品の製造が行われるようになっている。これら3業界の3Dプリンター市場の2015-2025年における年平均成長率(CAGR)は、自動車業界が34%、航空業界が26%、ヘルスケア業界が23%に達すると予想されており(フロスト&サリバン調べ)、3Dプリンターの全需要の51%をこの3業界が占めると考えられる。3つの業界で標準的に使われている造形法が、光造形、直接金属レーザ焼結、電子ビーム積層とそれぞれ異なっているのも大変興味深く、3Dプリンターの市場シェアもそれぞれのメーカーの得意な造形法ごとに異なった競争環境となっている。

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3Dプリンターの産業別の一般的な造形法
(出典:フロスト&サリバン)


【次ページ】3Dプリンター市場を牽引する3業界と日本への打撃
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