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- 2016/06/10 掲載
ジェフ・ベゾスは「長い時間」と「短い時間」を使い分けている
連載:ジェフ・ベゾスに学ぶイノベーターの仕事術
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「今しかない」と考えて行動できる人はそうはいない
当時、インターネット関連のビジネスで成功した人は誰もいなかったが、ゴールド・ラッシュならぬ「インターネット・ラッシュ」に見えたベゾスは急いだ。
「年に2300%も成長しているとなると、すぐに行動に移さなければなりません。その切迫感が一番重要な強みになるんです」
チャンスに「気づく」人はいる。しかし、チャンスを「今しかない」と考えて即座に行動できる人はそうはいない。もしマーク・ザッカーバーグがフェイスブックの可能性に気づきながら、「ハーバードを卒業してから」と先延ばししたなら、今日の成功はなかったように、ベゾスも「ボスの許可が出るのを待とう」とか、「ボーナスをもらってからにするか」と考えたならやはり今日のアマゾンはなかったはずだ。
チャンスに気づくとすぐに勤めていたD・E・ショー社を退社、ベゾスは7月にアマゾンの前身となる「カダブラ」を登記(1995年2月に「アマゾン」を登記)、翌年の春からアマゾンサイトのベータテストを開始している。
こだわり続けたのは「摩擦のない買い方」を実現すること
ベゾスは、アマゾンの初期メンバーで、当時ソフトウェア開発の責任者だったシェル・カファンにこう指示している。
「注文システムの“摩擦”をなくす工夫が大切だ。最小限の労力で商品を注文できるようにしなければならない。商品をクリックしたらそれだけで終わるくらいでなければならないと思う」
目指したのは「シングルアクションによる注文」だったが、これは当時としては画期的な考え方だった。元副社長のスコット・リブスキーによると、当時、オンライン企業の多くが考えていたのは「店に入って行ってお目当ての品物を探す」という伝統的なスタイルをネット上で再現することであり、「何がオンライン・ショッピングの動機になるのか」を自らに問いかける人はいなかったという。
そこにベゾスと他の会社の違いがあった。ベゾスが考えていたのは「オンライン・ショッピングを手間も時間もかからない経済的なものにすることが、そこで買い物をしようという動機になる」ということであり、オンラインで本を注文する利便性を提供することこそ成功の条件だと理解していた。
理由はこうだ。
「私は、最も貴重な資源は時間であるという、20世紀後半によく言われた理論を今も踏襲しています。お金と時間を節約できるなら、みんな気に入ってくれますよ」
【次ページ】アマゾンの成功を支えている要因とは
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