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  • 2020/10/26 掲載

Slack、アマゾンらが考える、バックオフィス部門の「良い苦労」と「悪い苦労」

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今、バックオフィスの業務は過渡期にある。コロナショックでデジタル化/ペーパーレス化が一気に進んだ企業もあれば、そうでない企業もある。国内でバックオフィスを支えるサービスを展開する、アマゾンジャパン、Sansan、Slack Japan、弁護士ドットコム、ラクスの4社が、“これからのバックオフィス部門のあり方”を議論した。
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写真左からタレントのグローバー氏(MC)、ラクス 本松慎一郎氏、Slack Japan 水嶋ディノ氏(リモート参加)、アマゾンジャパン 鐸木恵一郎氏、Sansan 柴野亮氏、弁護士ドットコム 田口修氏

※本記事は、ラクスが2020年9月25日に主催したオンラインイベント「RAKUS Cloud Forum」の内容をもとに再構成したものです。

仕事ではなく「作業」をデジタル化していく

──バックオフィスの業務改善の可能性について、皆さんにお話を伺いたいと思います。未来と聞くと、どうしてもこのコロナ禍、不安なことが先立ちますが、明るい話が聞けたらいいな、と。

Slack Japan 事業開発部 部長 水嶋ディノ氏(以下、Slack水嶋氏):たとえばリモートワークのシフトなどもそうですが、コロナ渦で色々なことが加速していて、あらゆる仕事やシステムのあり方が急激に変化し、未来に向かって進んでいる感覚があります。デジタル庁の設置に向けた動きなど、国としてもデジタル化に進んでいる。ただ、それでもやはり公的文書における紙文化というのは根強く、freeeの調査によると、コロナ禍における出社理由の多くは紙の書類に関わるものだったというデータも出ています。

 ここで押さえておくべきは、デジタル化に向かうことは重要だがそれだけでは不十分である、ということです。紙でもデジタルでも、大事なのは業務が分かりやすく実施できるという根本的なこと。従業員視点で最適な方法を考えていくことが重要だと思います。

弁護士ドットコム クラウドサイン事業本部営業部 セールスマネージャー 田口修氏(以下、弁護士ドットコム田口氏):たしかに、いまペーパーレス化が急速に進んできていながらも、「ハンコ出社」がSNSで話題になるなど、過渡期の様相があります。ただ、お話にあった通り、デジタル化してアナログが一切なくなるかというとそんなことはない。これだけインターネットが普及してメールであらゆるビジネスが成立している一方で、手書きの手紙だから必要なものや訴求できるものもある。すべてのものを100%デジタル化することはできません。

 一方で、仕事ではなくて作業レベルのものはデジタル化していくべき。その上で、仕事として人の手を介在させた方がいいものは残していった方がいい業務なのかなと思います。

経理が自身の専門性を生かせる仕組み作りを

──自分の仕事が単なる作業で終わってしまうのではなく、そこを業務改善することで新たな時間を生み出す可能性があります。この生み出された時間をどのように活用してほしい、という明確なビジョンは持たれているのでしょうか。

ラクス 執行役員 BOクラウド事業本部長 兼 楽楽精算事業統括部長 本松慎一郎氏(以下、ラクス本松氏):やはり専門的な知見をもった人たちが、その知識を活用できるようになると良いと思います。

 たとえば経理や財務の方々を想像してみてください。彼らは簿記会計のエキスパートですが、経費精算にまつわる書類のチェックや押印作業など専門性の不要な業務に時間を圧迫されてしまっているのが現状です。

 そこをデジタル化することで時間を節約し、空いた時間で経理財務の方々が持っている専門的な知見をもとに、より利益を生むような会社の費用の使い方を考えて提案していく、もしくは不要な費用を見つけ出す時間にあてることができます。

 そうやって利益を生み出す業務に振り分けて行くことができれば、ご本人もご自身の専門性が生かされて仕事にやりがいを感じることができるでしょうし、結果的にそれが企業にとっても売り上げや利益の増加につながります。

Sansan 新規事業開発室 Bill One プロダクトマネジャー 柴野亮氏(以下、Sansan柴野氏):同意見ですね。僕は、本当は一瞬で会計の財務諸表を作りたいんですよね。今はシステムで数値が起こせるので不可能ではないはずなんです。月次決算でみんなで残業しながら頑張りましょうと言っていたところを、「いや、もう終わってますよ」と言えれば、今までそこに注いでいた時間をほかのところに回すことができる。

ラクス 本松氏:財務諸表を一瞬で作るのは、理屈上はできるはずなんですよね。ただ、申請を締めるのに数日、そこから数日たって初めてPLが見える……。バックオフィスの課題は本当に山積みで、そこを少しずつパートナーの会社の方々と崩していけたら、と我々も考えています。

【次ページ】バックオフィスが本当に苦労すべきこととは?
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