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- 2017/02/14 掲載
改正電子帳簿保存法とは何か? 「スマホで撮影」が認められて何が変わったのか
これで完全ペーパーレスも可能に
改正電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿書類を電子データとして保存することを認める電子帳簿保存法が2015年9月30日に改正され、2016年1月1日に適用開始となった法律をいいます。この法律を活用することで、企業は一定の国税関係帳簿書類を紙文書として保存せずに電子データとしての保存することができ、コスト削減や事務処理のスピード向上といったメリットを受けることができます。その他にも、電子データは強固なセキュリティで守られるようになり、社内体制が整備され内部統制の強化にもつながります。
電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法とは、1998年7月に施行された法律で、一定の国税関係帳簿書類を電子データとして保存することを認めた法律です。当時の電子帳簿保存法では、「最初から最後までコンピューターで作成された一定の文書」のみが対象とされており、紙からスキャナを使って電子データを作成する「スキャナ保存」は認められていませんでした。やがて、2005年4月からe-文書法が施行されることに併せて電子帳簿保存法も改正され、一定の紙文書をスキャナ保存することが認められたのですが、条件が非常に厳しく普及には至りませんでした。
具体的には、2005年に改正された電子帳簿保存法では、たとえば契約書や領収書については3万円未満の場合だけスキャナ保存を認められていたり、スキャンデータには日本データ通信協会が認定する認証事業者の電子署名が必要であったりと、要件が厳しく紙で保存する以上の価値を見いだしにくかったのです。
これらの課題を解決すべく、2016年1月1日より新しい電子帳簿保存法が適用開始となりました。
e-文書法と電子帳簿保存法は何が違うのか?
改正で何が変わったのかを説明する前に、e-文書法との違いについて説明しておきましょう。各企業が活動を続けるためには、保存義務がある書類が法律で定められています。インターネットが普及し、IT化に積極的な取り組みが増えているのにも関わらず、必要な書類は紙での保管が義務付けられていました。これでは時代に逆らっているとの観点から、2005年に電子データでの保存を認めるe-文書法が制定されたのです。e-文書法は、主に以下の2つの法律で構成されています。
2.「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(e-文書整備法)
e-文書法の対象となった書類の中には、国税関係に関わるものも多くありました。国税に関する書類については電子帳簿保存法の規定に従うようにと、同タイミングで施行されました。
そのため、e-文書法と電子帳簿保存法とでは、対象となる文書が違い、スキャナを利用した電子化要件も異なっています。たとえば、国税関係書類である領収書を電子データで保存する際、e-文書法に適しているからと安心するのではなく、電子帳簿保存法の要求を満たしているのかについても確認しなければなりません。
改正で何が変わったのか?4つのポイント
2015年9月30日に施行され、2016年1月1日から適用開始される改正電子帳簿保存法によって、これまでと何が変わったのでしょうか。変更される主なポイントは4つあります。(1)金額基準の撤廃
契約書や領収書などについて、電子データで保存する条件は、3万円未満までとなっていました。改正によって金額の条件が取り払われ、契約書や領収書など、一定の国税関係書類については金額の条件なしに電子化できるようになりました。
(2)電磁的記録等による保存制度の承認が不要
電子帳簿保存法には入力期間の制限が要件にあり、2つの方法から選ぶことができます。
「早期入力方式」は国税関係書類を作成、または受領してから1週間以内に電子化する方法です。もう1つの「業務処理サイクル方式」は、国税関係書類を業務の処理に係る期間(最長1カ月)が過ぎてから1週間以内に電子化する方法です。一般的な企業は、1カ月を1つの単位で経理処理をしますので、「業務処理サイクル方式」の選択が主でした。
「業務処理サイクル方式」を選択する場合は、電磁的記録等による保存制度の承認を受ける必要がありましたが、今回の改正によって不要となりました。
(3)電子署名が不要
国税関係書類を電子化する際、電子署名とタイムスタンプが必要とされていました。電子帳簿保存法の改正によって、タイムスタンプは今後も必要ですが、電子署名が不要となりました。ただし、国税関係書類の記録事項の入力者等に関する情報を確認できるよう措置しておく必要があります。
(4)大きさ情報・カラー画像の廃止
これまでは電子化する対象書類をカラー画像での保存し、大きさ情報の保存もしなければなりませんでした。改正後は、一部の書類を除き、大きさ情報の保存が不要となり、かつグレースケールでの保存でも可能となりました。
求められる3つの適正事務処理要件
今回の電子帳簿保存法の改正では、スキャナ保存が認められるための要件として企業での内部統制が有効な状態であることを示す「適正事務処理要件」を満たす必要があるとされています。この「適正事務処理要件」については、3つのポイントが挙げられています。(1)相互牽制
相互に関係がある事務処理は、それぞれ別の担当者にて実施し、牽制が機能している体制であることが求められています。
(2)定期的なチェック
最低年に1回以上、定期的に事務処理の内容を確認、検査できる体制が必要とされています。
(3)再発防止策
事務処理の検査に問題があった場合、経営者を含む幹部社員に報告し、原因を追求、再発防止策を検討しなければなりません。場合によっては、社内規定や体制を見直すことにもなります。
適正事務処理要件は、(1)相互牽制できる体制を作り、(2)しっかりと運用できているのかをチェックし、(3)問題があれば対策を取る、といった事務処理に必要なPDCAを求められているのです。
【次ページ】改正電子帳簿保存法に対応する4つのメリット
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