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- 2015/09/10 掲載
UTMと次世代ファイアウォールを比較、両製品が競合する3つの領域を理解して導く最適解
新たなテクノロジーを採用する際には、プロセス管理の視点も重要
「写真を撮りたい時、専門メーカーの一眼レフカメラを使うこともできるし、今ならスマートフォンのカメラ機能を使うこともできる。前者がベスト・オブ・ブリードでNGFW、後者がベスト・オブ・ニーズでUTMが相当すると言える」
「ガートナー セキュリティ&リスク・マネジメントサミット2015」で登壇したデシュパンデ氏は、まず現在の主要なセキュリティトレンドについて紹介した。
次に緑部分にあるNGFWやWebアプリケーションファイアウォール、SIEM(セキュリティ情報イベント管理)などは大企業が求めるもので、青部分のソリューションとともにすでに成熟している領域である。
そしてオレンジ部分は、今まさに登場してきたテクノロジーで、サンドボックスやネットワークフォレンジクス、ユーザー行動アナリティクス、クラウドアクセスセキュリティブローカーなどが挙げられる。これらは専門的に特化したものの中で最も良いもの、つまりベスト・オブ・ブリードの技術だと言える。
「ここで理解していただきたいのは、オレンジ部分のテクノロジーも将来的には緑部分に含まれていくということだ。オレンジ領域にあるソリューションを採用したい場合には、今すぐ購入するか、あるいは少し待ってNGFWなどの機能として組み込まれてから購入するかを検討する必要がある」
また高度な脅威から自社を守っていくために必要となるのは、セキュリティ技術だけではない。
「どんな技術を採用したとしても、それらはプロセスという観点から管理していなければならない。それが脆弱性管理であり、特権ID管理であり、また変更管理やインシデント対応ということになる。企業がスタンドアロンのアプライアンスを買うか、あるいはプラットフォームと統合されている製品を買うかの判断をする際には、このプロセスという観点も踏まえた上で、しっかり検討する必要があるだろう」
今後FW市場は、サンドボックスやIPSなどアドオン機能の登場でさらに拡大していく
デシュパンデ氏によれば、今ユーザー企業は「セキュリティのコントロール」をどんどん失っているという。そこでNGFWを導入することで、インバウンドだけでなく、アウトバウンドや内部でのアプリケーションの振る舞いやユーザーの行動情報を得たいと考えており、さらにクラウドやモバイルの利用にも取り組んでいる。「現在インターネット接続をNGFWで保護している企業は4割未満だが、それが2018年末までには、インストールベースの少なくとも85%に増大すると我々は見ている。さらにそのうち、エンタープライズネットワークのエッジ部分で利用されるファイアウォールの90%はNGFWになるだろう」
また現在では、サンドボックスという注目すべきテクノロジーが出てきている。これは社外から受け取ったプログラムを、社内の本番環境には影響を及ぼさない仮想環境上の保護領域で動作させ、そのプログラムの振る舞いを確認することで未知のマルウェアを検知するというものだ。
「今後サンドボックスは、ネットワークファイアウォールやコンテンツセキュリティプラットフォームとパッケージ化されていくだろう。ここでいうプラットフォームとは、NGFWやセキュアWebゲートウェイ、セキュアEメールゲートウェイなどで、既にパッケージ化の動きは始まっている。またUTMプロバイダの中にも、サンドボックス機能をUTMのプラットフォームに取り込んでいるところが出てきている」
2014年に世界のファイアウォール市場は9.5%成長して95億ドル規模になったが、ガートナーでは2015年に同市場は約10%成長して105億ドル規模に達すると見ているという。さらに2017年までを通じて同市場の年平均成長率は10%に達し、IPSや高度脅威対策といったファイアウォールアドオン機能の登場によって、さらに拡大すると予測している。
「中小企業については、恐らくベスト・オブ・ニーズがうまく機能するだろう。その規模の企業では保有しているソリューションが管理しやすいものであることが重要だ。複雑性を排除でき、管理コストも削減できる。一方大企業であれば、すべてのセキュリティ機能を統合するのではなく、非常に重要なセキュリティ対策にはスタンドアロンの機能を適用し続けたいと考えるだろう。その際にはベスト・オブ・ブリードのソリューションがフィットする。ベスト・オブ・ニーズを採用するか、ベスト・オブ・ブリードを採用するかを十分に比較して考える必要がある」
【次ページ】UTMとNGFWは、3つの分野で競合する
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