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富士フイルムは、働き方を改革するために、人事部門とIT部門を中心に「Work Style Innovation プロジェクト」を立ち上げた。そしてグーグルのクラウドサービス「Google Apps」を導入し、現場レベルで意識を高めるために社内イベント「Google Festa」を企画した。先ごろ開催されたグーグルの基幹イベント「Google Atmosphere Tokyo 2015」において、富士フイルムのワークスタイル改革の中心人物である座間 康氏、安東 豊氏、高木 麻衣氏の3人が登壇し、Google Festaを開催した経緯から、実施の過程、その成果までを紹介した。
事業が大きく変貌する中、ITシステムも変革が必要に
富士フイルムは、昔から映像・写真用フィルムのメーカーというイメージが強いが、この十数年間に大きな変貌を遂げている。「昨年、創立80周年を迎えたことを機に“Value from Innovation”をコーポレートスローガンとして打ち出し、心おどる新しい技術にチャレンジする企業を目指していくと宣言しました」と語るのは、同社の人事部 高木 麻衣氏だ。
現在、同社における写真関連の売上は全体の15%程度。それ以外のオフィスドキュメント関連、ライフサイエンスといった新規分野の成長が著しく、B2B向けの売上が85%に上るほどだ。グローバル展開も積極的で、売上の半分以上が海外市場で占めている。
事業が大きく変貌する中、それに応じてITシステムも変革が必要となる。全社システムの企画から展開までを担当する経営企画本部 ITグループ マネージャー 安東 豊氏は以下のように説明する。
「事業が大きく変わり、組織もたびたび再編されました。そこでITシステムも変化に柔軟かつスピーディに対応できる仕組みが求められました。各グループ企業がバラバラのシステムを使うのではなく、1つのシステムに標準化・共通化・統合化することで、さらに価値を高められるようにしました」(安東氏)
従来まで、同社は情報コミュニケーション基盤としてNotesを中心にオンプレミスで環境を構築していたが、グローバルでの対応を鑑みて、Google Appsの導入に踏み切った。実は北米拠点では、2010年から先行してGoogle Appsを取り入れていた。そこで2012年に日本本社でグローバル契約を締結し、海外の各リージョンや新規会社での導入を推進した。そして昨年には本体のホールディングスでも使われるようになった。現在、グループ全体で3万名以上が利用しているそうだ。
さらに、もう1つ同社で期待していたことがある。グローバル全体で1つの情報基盤を使い、個々人が持つ情報や知見を集めて、それらを共有して相互に活用することで、コラボレーション(共創)やワークスタイルに対する意識変革を促せると考えたからだ。安東氏は「実際に現在、その効果が実感できるようになりました」と自信をのぞかせる。
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