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  • 2014/08/04 掲載

クロスブラウザ対応という面倒くさい課題から解放される方法

連載:ビジネスを加速するUX時代の企業Webシステム

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Webアプリケーションシステムは、サーバ集中管理を実現することで、数多くのメリットをもたらしたが、それで“極楽”となったわけではなかった。なかでも、一見地味にみえてやっかいなのが「クロスブラウザ問題」である。Internet Explorer(以下、IE)一極の時代から、今はGoogle ChromeやFirefoxなど、多様なWebブラウザに対応しなければならない。この問題に対処するにはどうしたらいいのだろうか。

クロスブラウザ問題は目の上のコブ

 今やすっかりWebアプリケーションが主流になった。このシステム・アーキテクチャの利点はなんといっても実装のしやすさである。まず、PCにあらかじめ搭載されたWebブラウザで動作するため、クライアントプログラムをわざわざ配布する必要がない。また、サーバ側にプログラムを配備しさえすれば、修正も、機能追加も、そこで集中的にメンテナンスできる。

 クライアント/サーバ型システム時代、クライアントにプログラムをインストールするため、情報システム部門の技術者が、あるいは情報システム部門から依頼を受けた協力会社が“キャラバン”を組んで全社、全国を回っていたことを思えば、運用負荷やコストははるかに低減された。経験者は二度とあの時代に戻りたくないに違いない。内容からいっても、あまり創造的とはいえない作業だからである。

 では、今日のWebアプリケーション時代は極楽かというと、現実はそう甘くない。Webブラウザで動かすことからくる操作性の制限、サーバ集中システムであるがゆえの性能設計の難しさ、外部に開かれたシステムであればセキュリティの脅威など、これはこれで多くの課題を抱えている。

 なかでも、一見地味にみえて実はやっかいなテーマが、IE、Chrome、Firefoxなどクライアントシステムで動くWebブラウザが何種類もあるという「クロスブラウザ」問題である。

ユーザーは自分のWebブラウザが標準だと思っている

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 何種類あっても、開発したとおり、すべて同じように見えるというなら問題はない。しかし、実際のところ、Webブラウザ間の機能差異はかなり大きい。Internet Explorerでは表示されるコンテンツやオブジェクトが、Google Chromeではまったく表示されないということもある。

 そのWebアプリケーションシステムが、一企業や企業グループ内のみに提供される業務システムで、完全にWebブラウザ環境を統一できるというなら、まだいい。ユーザーに対して、標準ブラウザはAと宣言し、開発もテストも、Aをターゲットに進めればそれで済む。

 ところが、業務システムでもそのように統制できない場合が少なからずある。典型的なのはSaaSだろう。多くのユーザーに使ってもらおうというWebアプリケーションで、利用するWebブラウザの種類を限定するのは自分で自分の首をしめる行為だ。SaaSというわけでなくとも、顧客に提供したり、海外のグループ会社で共有したり、サーバ集中型というアーキテクチャであるために、システムを水平展開する機会は広がっている。

 ユーザーというのは、自分の使っているWebブラウザこそがスタンダードだと思っている。別のWebブラウザを使ってくれといわれると、なぜそんな面倒なことをしなければならないのかと腹立たしく感じ、アプリケーション開発者の怠慢を指摘したくなるものだ。

 無駄にユーザーの不満をあおりたくなければ、メジャーといわれるWebブラウザに対応することが重要になる。

 これに加えて、同じWebブラウザでも、バージョンの違いでシステムが動かなくなるという問題もある。これは主にIEを利用するケースで起こっているのだが、ネットワーク接続されたクライアント端末に対して、マイクロソフトがシステムアップデートの実施をデフォルト設定としているためである。

 バージョン10で動いていた業務システムが、ある日突然動かなくなってしまった。あれこれ原因を探ったらIEのバージョン11が自動インストールされ、これにアップデートされたためだったという“事件”は、筆者もいくつか耳にした。事前に自動インストールをブロックする設定をしておけば予防できたのだが、開発や運用に多忙な中でここまで気を回すのはなかなか難しい。

【次ページ】クロスブラウザ対応でシステムインテグレータのとった方法とは?
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