知っておきたいこと（19）：プラス1「セルフチェック」をしてみよう

　ここまでコミュニケーションに関する5つのアクションをお伝えしましたが、最後に皆さんにやっていただきたいのが「セルフチェック」です。有名なメラビアンの法則にもある通り、私たち人間は、相手からの情報を目や耳から入ってくるものでも判断します。したがって、たとえ本人にそのつもりはなくても、無意識に不機嫌な表情、怒ったようなトーンで話をしていれば、「うちの上司はいつも不機嫌で話しかけづらい」と思われ、コミュニケーション不全の引き金をひきかねません。

　そうならないためにも、まずは皆さんに「鏡チェック」をお薦めします。鏡を見て、自分の「無意識な表情」がどんなものかを確認してみてください。機嫌も悪くないのに眉間にしわが寄っていないか、ひどく疲れた表情、無表情だったりしないか。

　もし、そのときに問題を感じたならば、それは皆さんの部下も同様に感じているということです。特に今までお話してきた通り、女性は「よく見て」います。機嫌の悪そうな（上司はそのつもりはないのに）上司の顔を見て、相談したくてもできていないかもしれません。

　また、オフィス内でのふるまいもチェックしていただきたい項目です。周囲に遠慮なくくしゃみをしたり、独り言をブツブツ言っていたり、あたかも自宅にいるかのごとく、自分のデスクで爪を切ったりしていないでしょうか？

　ベテランになればなるほど、会社内の居心地が良くなることで、無頓着なふるまいの中に周囲を不快にさせているものがあるかもしれません。あくまでもオフィスは公共の場。そこで求められるマナーを逸脱した行為を女性は見逃すことはありませんし、不快を感じる上司に信頼を寄せることはないでしょう。

　これではいくらコミュニケーション力を磨いても元の子もありません。どんなにベテランになっても、オフィス内で「自分は見られている」という適度な緊張感を持つことは、女性部下と仕事上の信頼関係を築いていくうえで、非常に大切な心構えと言えます。

知っておきたいこと（20）：まとめ～活き活きと働く女性を増やすために

　昨今、安倍政権が「女性管理職の増加」「3年育休」「女性手張」など、さまざまな女性施策を打ち出していることを、本連載をお読み下さっている方ならきっとご存知かと思います。

　各施策に関する是非を問うのはここではやめておきますが、日本経済のみならず未来の日本のために、政府が女性に着目した施策を打ち出しているのは進歩だといえるでしょう。

　しかしながら、女性の活躍を政府や会社の制度だけに任せていては、真の女性活躍推進はなしえません。制度に頼らずとも、今働いている女性たちが今のポジションで活き活きと働き、仕事にやりがいを見出せることが、女性社員の戦力化、そして真の女性活躍推進の第一歩だと私は考えます。

　そしてそのためのキーは、直属の上司である皆さんが握っているのです。仕事をがんばりたい女性にとって、直属の上司の影響ははかりしれないものがあります。

　女性のやる気と能力を顕在化させ、チームにとってかけがえのない戦力、そして未来の幹部候補に育つか否かは、上司である皆さんのマネジメント能力次第だと言っても過言ではありません。

　そのために本連載では6回にわたって、皆さんのマネジメント能力により磨きをかけていただくための情報と、コミュニケーションの具体策をご紹介してきました。

　できることからでも構いません。女性部下だけではなく皆さん自身も変わることで、女性部下の表情が明るくなり、活き活きと仕事に打ち込み、チームの戦力として育つ～そんな上司として最上の喜びを得るために、本連載がお役にたてれば、これ以上嬉しいことはありません。