• 会員限定
  • 2013/02/19 掲載

【ITビジネスと孫氏の兵法(10)】「廟算(びょうさん)で勝つ」:プランニングが全て

民主党 藤末健三・フューチャー・デザイン・ラボ 後藤洋平

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
孫子は、戦争を始める前の廟算(作戦会議、廟とは政治を行う部屋のこと)の重要性を強く主張する。存亡をかけた戦いに確実に勝利をおさめるには、事前の計画が不可欠であり、かつ計画の段階で「勝てる」という判断を全体で共有できなければならないという。確実に勝てると思って戦いをはじめても、予想外のアクシデントが発生して苦労してようやく勝利をおさめるのが常だろう。はじめから勝算のない戦いを始めて勝てるわけがない。

<原文>
夫れ未だ戦わずして廟算[びょうさん]して勝つ者は、算を得ること多ければなり。未だ戦わずして廟算して勝たざる者は、算を得ること少なければなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず。而るを況や算なきに於いてをや。(1.4)

<対訳>
そもそもまだ会戦もしないうちから廟堂で目算して既に勝つのは、五事・七計を基準に比較・計量して得られた勝算が、相手よりも多いからである。まだ戦端も開かぬうちから廟算して勝たないのは、勝算が相手よりも少ないからである。勝算が多い方は実戦でも勝利するし、勝算が少ない方は、実戦でも敗北する。ましてや勝算が一つもないというに至っては、何をかいわんやである。

 事業展開においても、成功する経営者は、まずビジネスプランで勝つ段取り、道筋をつけておいてから事業をおこない、失敗する経営者は、とりあえずスタートをしたあとに、何をしようかと考えるものである。

 ビジネスプランの立案においては、事前の計画の精度の高さが勝敗を分ける。プランニングの段階で、成功の見通しの立たない事業は必ず失敗すると考えておこう。ビジネスプランのない事業展開など論外だ。

 新事業の目的、長期、短期の目標を明示するとともに、生産計画、マーケティング計画、財務計画等機能別の事業計画を作成する。社内外の関係者や投資家と事業の内容を共有するために、現在どこにいて、これからどの方向へ向かうのか、また、どのような方法で目標にたどり着くのかを、裏付けされたデータを基に論理的に示す必要がある。

 ビジネスプランは事業を開始するためのロードマップであり、経営者や新事業を行うマネージャークラスだけでなく、従事する社員も、これを理解しておかなければならない。まさにビジネスパーソンの必須スキルである。

 このように、経営の勝敗は事前のビジネスプランの精度にあり、運まかせや根性論、戦略の伴わない理想主義は経営者が最も避けるべき思考だといえるだろう。時々、細かいビジネスプランなど要らないし、それで成功したという経営者もいるが、これこそ運が良かっただけであり、継続してビジネスを成功させることが難しいであろう。

【次ページ】ビジネスプラン策定の要点
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます